Syirin Farthat / Elvy Sukaesih


エルフィ・スカエシはインドネシア・ポップスのスター。CDの帯には「1984年9月の発売と同時に空前のベストセラーを記録。エルフィがインドネシア・ダンドゥット界にうちたてた不滅の金字塔、まさに最高傑作!!」とある。大袈裟な書き方だと思うかも知れないが、このアルバムを聴けばわかるに違いない。とんでもない素晴らしいアルバムだ。一度聴いたら忘れられない印象的なメロディ、ハーモニー、そして軽快なリズム。全てがポップ・ミュージックの王道を示している。

日本を始めアジアのポップ・ミュージックは、自国の民族性と英米のロック・ポップスをミックスすることでできている。インドネシアにおいては、オルケス・ムラユーと呼ばれたポップスを、オマ・イラマというミュージシャンが手を入れ、ダンドゥットと呼ばれるジャンルを確立したという。「ダンドゥット」という言葉は、そのリズムを形容した造語らしい。アフリカのトーキング・ドラムに似た印象的なリズム楽器は「グンダン」と呼ばれる両面太鼓だそうだ。そしてエルフィ・スカエシはオマ・イラマのダンドゥットのアルバム「Begadang」のボーカリストでもあった。

このアルバムを始めて聴いたのは学生時代で、当時はレコードだった。「ミュージック・マガジン」で中村とうよう氏が絶賛していたことを覚えている。そして他のいくつかのインドネシア・ポップスも耳にしたが、その中でも、やはり、このアルバムはダントツの素晴らしいできだった。そしてこのCDは、先日、福岡へ行ったとき、たまたま入った「田口商店」で見つけたものだ。インドネシアではこのアルバムは1984年に発表された。日本では1985年5月21日に発売されたと、CDの解説で椎名謙介が書いている。日本盤のCDだ。

2004.12.15