小川美潮 / 小川美潮


ギタリスト板倉文らと組んでいたチャクラの頃から、小川美潮は大好きだ。南方を思わせるメロディーとリズム。少女のような声と大人の女性の声が入れ替わりながら、傷ついた心にピリッと沁み、じんわりと癒されていく。小川美潮の音楽は、そんな音楽だ。そしてこれは小川美潮のファーストアルバム。ジャケットに直筆のサイン、そしてレコードのレーベルにもサインがある、俺の宝物だ。

1984年5月21日にこのアルバムを発表した小川美潮は、5月22日新宿ルイードを始めに、全国主要都市ツアーを行う。6月8日大阪バナナホール、6月9日神戸チキンジョージ、6月11日京都BigBang、6月12日名古屋ザ・グレートフル・ユッカ、7月26日東京草月ホール。そのときのリーフレットがこれだ。

1曲目「おーい」を聴くと、今でも当時のライブが目に浮かんでくる。2曲目「行っといで」は大きな波に揺られながら大海原を漕いでいく舟のような気分。3曲目「時計屋」は、小川美潮の少女の面が出ている曲。4曲目の「ポテトロイド」はナンセンスな言葉をつむぎながら、ポップな曲に仕上げられている。

ここまでのレコードA面は、従来の小川美潮を踏襲した作品だが、B面は少し違う。5曲目「おかしな午後」では、ほのかな恋心を歌う。少女のラブソングだ。6曲目「光の糸 金の糸」では、モノローグと歌の融合を目指している。この曲は細野晴臣が作曲、編曲、演奏をやっている。7曲目「花の子供」は少し悲しい曲。

作曲と演奏は橿渕哲郎、白井良明、渋谷穀、川端民生、友田慎吾、中原信雄、平沢幸男、西尾明博、近藤達郎、そして板倉文と名立たるセッションミュージシャンが集まっている。全部で7曲と曲数は少ないが、俺にとっては忘れられない素晴らしいアルバムだ。レコードでは聴きにくいので、WMAファイルにしてコンピュータやディジタルオーディオプレイヤーで聴いている。

このアルバムは1984年に株式会社バップから発売されたレコードだ。

2005.1.1