ブルー・オイスター・カルトは学生時代から気になるグループだった。音楽雑誌に掲載されるアルバムジャケットの印象的なデザインは、どんなロックなのか聴いてみたいという気持ちをくすぐるものだった。だが、キッス、エアロスミス、クイーンといった当時の有名グループを追いかけるだけで精一杯だった俺には、ブルー・オイスター・カルトにまで手がまわらなかった。身近に聴いた友人がいなかったし、音楽雑誌でも得られる情報は少なかったからだ。そういう意味でブルー・オイスター・カルトを聴くということは、学生時代にやり残したことを体験している、といえる。
しかし、まだ全貌を把握していないグループなので、論評をするのは難しいのだが、ファーストアルバム「BlueOysterCult」や、名曲「ゴジラ」の入った「Spectres」に比べると、このアルバムには「ヘビーメタル」という名にふさわしい雰囲気がある。それは特に1曲目のタイトル曲「FireOfUnknownOrigin」、3曲目「VeteranOfThePsychicWars」、そして5曲目のその名もずばり「HeavyMetal:TheBlackAndSylver」に強く出ている。その他の曲は、従来のブルー・オイスター・カルトらしく、メロディーとハーモニーを大切にしたものだ。だがサウンドは重厚になっている。
2曲目「Burnin’ForYou」、4曲目「SoleSurvivor」、7曲目「AfterDark」、アコースティック・ピアノで始まる8曲目「JoanCrawford」などはいかにもアメリカン・ロックらしい作りの曲だ。6曲目の「Vengeance(ThePact)」はドラマチックな曲。アルバム最後の9曲目「Don’tTurnYourBack」は少し異色。ジャズ・フュージョンの香りがし、ニュー・ウェーブ・ポップ的な要素も感じられる。
メンバーのクレジットは、EricBloom(LeadVocals,BassOn”HeavyMetal”)、AlbertBouchard(Drums,Synthesizer,Vocals)、JoeBouchard(Bass,Vocals)、AllenLanier(Keybords)、Donald(BuckDharma)Roeser(LeadGuitar,Vocals,BassOn”JoanCrawford”)。ファーストアルバムからこのアルバムまで、ブルー・オイスター・カルトはオリジナルメンバーであり続けた。だがこのアルバムを最後に、ドラムのAlbertBouchardは脱退したようだ。
このアルバムは1981年に発表された。このCDはColombia/SonyMusicから発売された米盤だ。
2004.11.21