Blue Oyster Cult / BLUE OYSTER CULT


最近、通勤時にはこればかり聴いている。やはり70年代ロックは最高だ。ブルー・オイスター・カルトは当時の日本のロック・キッズにとっては、レッド・ツェッペリンやディープ・パープル、キッス、エアロスミス、クイーンといった有名ハードロック・グループに比べると、ワンランク下のイメージだった。しかし、キッスはデビュー当初、ブルー・オイスター・カルトの前座をやっていた時期があったという。このアルバムは、ブルー・オイスター・カルトのファーストアルバムだ。

ブルー・オイスター・カルトというグループ名、そして多くのアルバムのジャケット・デザインに感じられるオカルティックなイメージ、そして「ヘビー・メタル」という言葉はブルー・オイスター・カルトに付けられた言葉である、といったことから想像するのは、さぞかしヘビーでダークなサウンドなのだろう、ということだが、実はかなりポップでエンターテインメントな曲をやるのだ。

このアルバムのメンバーは、EricBloom(LeadVocal,StunGuitar,Keybords)、AlbertBouchard(Drums,Vocals)、JosephBouchard(Bass,Vocals)、AllenLanier(RhythmGuitar,Keybords)、Donald”BuckDharma”Roeser(LeadGuitar,Vocals)の5人。CDにはオリジナルアルバムの10曲に加えて、デモ録音の4曲、Donovan’sMonkey、WhatIsQuicksand、AFactAboutSneakers、BettyLou’sGotANewPairOfShoesが収められている。

やはり1曲目の「TransmaniaconMC」がブルー・オイスター・カルトの特徴をよくあらわしている。アウトスケールの経過音を使った印象的なリフ。強引でやぼったいと感じるかどうかのぎりぎりだ。2曲目「I’mOnTheLambButIAin’tNoSheep」は平凡なワンコード・ブルースかと思わせるが、後半は、おお、これぞブルー・オイスター・カルトと思わせる展開を見せる。3曲目「ThenCameTheLastDaysOfMay」は静かなバラード。ハードな曲ばかりではなく、この手の静かに聴かせる曲も得意なバンドだ。4曲目「StairwayToTheStarts」はシンコペーションの効いたギターのリフで始まるが、ドラムが入った途端に立てノリのリズムになる。ドラムのリズムが不器用なんだか、こういう味を意図して出しているのか。この曲もスピード感があっていい曲。5曲目「BeforeTheKiss,ARedcap」はブギ。ボーカルとギターのユニゾンがいい。途中からやや異なる印象に展開する。

これらオフィシャルのトラックでは、ブルー・オイスター・カルトのスタイルがほぼ完成された形で聴くことができる。だがボーナストラックの4曲は、違う。Donovan’sMonkeyはハモンドオルガンが前に出ていて、サイケデリックの影響が色濃く出ている。WhatIsQuicksandは、いわゆるリバプールサウンド。AFactAboutSneakersはグラムロック風で、初期デラム時代のデヴィッド・ボウイのような曲。BettyLou’sGotANewPairOfShoesはロックン・ロールだ。これらの曲を聴くと、バンドとしての方向性を決めかねている様子が感じられて興味深い。こういった時代を経て、ブルー・オイスター・カルトはブルー・オイスター・カルトになったのだ。

このアルバムは1971年に発表された。このCDは2001年にデジタル・リマスターされ、Colombia/SonyMusicから発売されたオーストラリア盤だ。

2004.11.16