とにかくサックスを吹く「音がデカイ」と評判だったことを思い出す。「どくとる梅津バンド」のアルバム「Dynamite」などを当時はよく聴いていた。ジャズ、ロック、沖縄、クレズマーと多様なジャンルに挑戦する梅津和時。ジャケットは爽やかなイメージだが、サウンドは重厚で硬派なものだ。油断するな。
梅津のサックスは、ソロを取っているときも凄いが、バンドのアンサンブルの中に溶け込み、リフを鳴らしているときの一体感に迫力がある。これは1曲目「KIKI」や2曲目「空飛ぶ首FlingHead」を聴くとわかるはずだ。これらの曲は、比較的これまでのジャズ=ロック的なアプローチを継承したものであり、とにかく梅津の鳴りまくるサックスを楽しむ、というのが正しい聴き方だ。3曲目「VietnameseGospel」にはアジア的な香りが感じられ、4曲目「MoonSrruck」ではクレズマーが顔を出す。5曲目「DancingBones」はゆったりとしたリズムで、大地のうねりのような雄大さを感じる。アフリカ的と言っていいだろう。6曲目「SOLA」は正統JAZZ。いかにも梅津和時らしい曲。テーマの力強さに酔いしれる。7曲目「FuckingAda」はちょっとしたボーカル入り。日本的。
メンバーは梅津和時(Alto&SopranoSaxophone)、鬼怒無月(Guitars)、早川岳晴(Bass)、新井田耕造(Drums、Percussion)の4人。このメンバーはパーマネントだが、ステージによっては巻上公一、山下洋輔、仙波清彦、などとセッションを行い、「こまっちゃクレズマー」も評判のようで、梅津和時から目を離せなくなってしまった。このアルバムは2001年にeweから発表された。日本盤のCDだ。
2004.5.3