Music Is The Healing Force Of The Universe / Albert Ayler


1曲目のタイトル曲「Music Is The Healing Force Of The Universe」は、まるで日本の民謡にも似た節回しで歌われるボーカルに病みつきになること請け合いだ。テナーサックスがアルバート・アイラーAlbertAyler、ドラムはMuhammadAli、ピアノはBobbyFew、ベースは二人いて、BillFolwellとStaffordJames、そしてボーカルは女性でMaryMariaだ。

2曲目「Masonic Inborn(Part1)」は、激しく楽器の音が凝縮した、いわゆる典型的なフリーの曲。オーネット・コールマンの「Free Jazz」と似た手法といえばわかりやすいだろうか。この曲でアルバート・アイラーはバグパイプを演奏しているが、ライナーによると2トラックのオーバーダビングをした、とあり、右と左からそれぞれバグパイプらしい音がする。加えてサックスも演奏されており、これらの音色が近いので、シンクロしながら混沌としたイメージを強めている。左トラックのベース、BillFolwellの弓弾きベースも、いい。12:08とアルバム中最も長い演奏だ。

3曲目の「A Man Is Like A Tree」にもボーカルが入っている。2本のベースは両方ともダブルベースを弓で弾くスタイルで、リズム感は薄く、朗々たる雰囲気だ。そして4曲目「Oh! Love of Life」は、タイトル曲に次ぐこのアルバムの聴き所だ。ここではアルバート・アイラー自身がボーカルをとっている。そして、これが、実にいい。「上手い」と言えるかどうかは微妙だが、野太い声は力強く、存在感を持っている。

5曲目「Island Harvest」は朗読のような詩を挟み、ユーモラスな雰囲気。トラディショナルなメロディーとフリーな演奏の落差が面白い。個人的には非常に好きな曲だ。最後の6曲目は「Drudgery」という曲で、ここにはギターでHenryVestineが参加している。2本のギターの音がするが、これはオーバーダビングによるものだ、とライナーに書かれている。それにしても不思議なのは、この曲が、実に真っ当なブルースなのだ。うむむ。わからん。

このアルバムは1969年の26日から29日にかけて、ニューヨークのプラザ・サウンド・スタジオで録音されたとある。このCDはVerve/UMGから発売された、米盤だ。

2003.11.2