フランク・ザッパFrankZappaのバンドで活躍したマリンバ奏者、エド・マンのセカンドソロアルバムだ。ファーストアルバムは前曲インストルメンタルだったが、ソロ・プレイを味わうというよりも、楽曲としての面白さを楽しむ、というつくりだった。このセカンドアルバムは、9曲のうち5曲が、ボーカルのヴィダ・ヴィエラという女性をフューチャーしたボーカル曲だ。そして楽曲の面白さを強調する傾向は、ファーストアルバムより強くあらわれている。バンドとしてのまとまりも高い。
1曲目はこのアルバムの特徴を象徴するノリのいいボーカル曲「ロノ」だ。2曲目「ホワイ」もボーカル曲。ミドルテンポでファンク的な味付けだ。ラップ風の台詞もある。3曲目「ジ・アザー・ウェイ」はインストルメンタル曲。ゆったりした落ちついた雰囲気でありながら、さりげなく変拍子を取り入れているところに味わいがある。ホーンセクションがいい。4曲目「パターン・モッド」は、前作のタイトル曲「ゲット・アップ」を彷彿とさせる雰囲気の軽快な曲。ここではカイル・マンのハーモニカとボーカルというか台詞回しがフューチャーされている。5曲目「ワン・オブ・アス」は再びインストルメンタル曲。爽やかな曲だ。エド・マンのマリンバとホーンセクションが空間的な広がりを感じさせてくれる。ソロ・セクションからは華やかな雰囲気に変わり、ギターもアグレッシブに弾きまくる。チャド・ワッカーマンのドラムも暴れだし、ぐいぐいと盛り上がっていく曲だ。
6曲目「ワーキング・フォー・チェンジ」は、台詞回しのようなボーカルで始まり、コミカルな雰囲気の明るい曲。7曲目「ウォーキング・イン・バランス」は、ややシリアスな曲。レゲエの味付けがされている。8曲目「アーバン・リーダー」と9曲目「ザ・ビッグ」はインストルメンタル曲だ。「アーバン・リーダー」はジャズ色の濃い曲で、シンコペーションの効いたリズムが気持ち良い。チャド・ワッカーマンのリズムもいいし、ベースのフレーズもかっこいい。「ザ・ビッグ」は大胆なアレンジの曲で、冒頭ややエキセントリックに感じられるが、次第に盛り上がっていき、まさにアルバムを締めくくるにふさわしいエンディングを迎える。
総じてバンドとしてのまとまりを見せるアルバムで、ボーカル曲の楽しさとインストルメンタル曲のスリルの両方を楽しめる作品だ。インストルメンタル曲だけで、もっと長く演奏してくれたアルバムでも良かった、と贅沢な気持ちも持ってしまう。このアルバムは1993年に発表されたようだ。このCDはジムコジャパンから発売された日本盤だ。プロモーション用の見本盤と書かれている。
2003.8.23