Watercolors / Pat Metheny


パット・メセニーはこのアルバムで、ライル・メイズとの運命的な出会いを果たした。ファーストアルバム「ブライト・サイズ・ライフ」ではジャコ・パストゥリアスという素晴らしいベーシストと共演したが、それぞれが目指す音楽的趣向が一致したとは思えない完成度であった。もちろんプレイヤーとしては素晴らしい演奏をしているのだが、何かしっくりとこない雰囲気を感じた。オーネット・コールマンの影響があまりにはっきりと出すぎたパット・メセニーの作風も、ジャコ・パストゥリアスには演奏しにくいと感じたかも知れない。だが、このアルバムでは、メンバーがパット・メセニーのJAZZを正しく理解している。バンドはカルテットで、ピアノがこれ以降もパット・メセニーと長く共演を続けることとなるライル・メイズLyleMays、ドラムがダン・ゴットリーブDanGottlieb、ベースはエバーハルト・ウェーバーEberhardWeberだ。

1曲目のタイトル曲「ウォーターカラーズ」は、いかにもパット・メセニーらしい清々しさにあふれた曲。バンドとしての充実感も感じられる演奏だ。2曲目「アイス・ファイアー」は、おそらく15弦のハープギターであろうと思われる、パット・メセニーのソロ演奏曲だ。ギターのサウンドは硬質で、明るい光が射してくるようなクールな印象を持っている。3曲目「オアシス」も基本的にはギターのソロ曲である。だがキーボードのストリングスか、リバーブを効かせたギターの音か、あるいは時折ベースの音と思われるサウンドも加えられている。おごそかな印象の曲だ。そして4曲目は再びカルテットで明るいアンサンブルの曲。ここでのエバーハルト・ウェーバーは、ジャコ・パストゥリアスを意識したかのようなアグレッシブな演奏を見せてくれている。おそらくここまでがアナログレコードのA面で、アルバム前半部分のハイライトだ。

5曲目「リヴァー・キー」は比較的スローなテンポの曲。意外性の少ないコード進行で、落ち着いた気分にさせてくれる。6曲目は「フロリダ・グリーティング・ソング」と名づけられたパット・メセニーのギターとドラムのラフなアドリブ曲。ここでは少しオーネット・コールマン風のソロ・プレイが飛び出してくる。7曲目「湖の伝説」はパット・メセニーのアコースティック・ギターによるソロ曲。こちらは爽やかな落ち着いた印象の曲だ。この2曲はアルバムには「組曲」として記載されているが、CDのトラックは別になっていて、曲順があわなくなっている。

7曲目、CDではトラック8となる最後の曲は、10分18秒の大作「海のうた」だ。まるで映画の一シーンを見ているかのような気持ちにさせてくれる雄大なサウンド。だがリズム感に欠けているので、俺にはちょっと、物足りない。ライル・メイズのピアノが光っている。

このアルバムは1977年の2月に録音され。このCDはECMレコード/ポリドール株式会社から発売された日本版だ。

2003.8.2