Bright Size Life / Pat Metheny


大好きなギタリストの一人、パット・メセニーのファーストアルバムを聴くのは、実のところこれが初めてだ。ギター、ベース、ドラムによるシンプルなトリオ編成。ドラムはゲイリー・バートン・グループのボブ・モーゼズBobMoses、そしてベースはジャコ・パストゥリアスJacoPastoriusだ。

1曲目のタイトル曲「ブライト・サイズ・ライフ」は、いかにもパット・メセニーらしい爽やかな曲だ。ボブ・モーゼズも元気がいいし、ジャコ・パストゥリアスとのインタープレイも素晴らしい。これは俺の私見だが、パット・メセニーとジャコ・パストゥリアスのJAZZは、決して近いものではないと思うのだ。だが、この曲では、二人はとてもうまくいっている。

2曲目はドラムの控えめな「シラブホーン」、3曲目は多重録音と思われるギター2本の「ユニティ・ヴィレッジ」と静かな曲が続く。そして4曲目「ミズーリ・アンコンプロミスト」はアルバム前半のハイライトだ。レコードではA面最後の曲にあたる。この曲でのパット・メセニーは、いかにも若さで押し切る、といった様相を呈している。ボブ・モーゼズもジャコ・パストゥリアスも、パット・メセニーのギターに息を切らせながら合わせている、という感じだ。この曲におけるパット・メセニーのギター・プレイは、オーネット・コールマンの影響を強く受けたものだ。合わせにくいのも頷ける。浮遊するようなテーマのメロディーに不断にたどり着きながら曲を紡いでいく様は、まるで水の中を泳いでいるかのように自由だ。

5曲目「ミッド・ウエスタン・ナイツ・ドリーム」は文字通り夜のイメージを持った少し暗い雰囲気の曲。6曲目「アンクウェイティ・ロード」も印象的なメロディーとコード進行の曲だ。この曲もいかにもパット・メセニーらしい。7曲目「オハマ・セリブレイション」は少し軽い印象がある。このような曲では、ジャコ・パストゥリアスのベースが生きてくる。そして最後の「ラウンド・トリップ/ブロードウェイ・ブルース」はオーネット・コールマンの曲だ。パット・メセニーはオーネット・コールマンのサックス・プレイを見事なほどに消化している。

レコーディングは1975年の12月。この当時パット・メセニーは21歳、ジャコ・パストゥリアスは24歳だったはずだ。このアルバムは1976年に発表された。このCDはECMレコード/ポリドール株式会社から発売された日本版だ。

2003.8.1