ルベーン・ゴンザレスはブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブに登場したピアニスト。だが彼はそのとき、音楽から引退して10近く経っていたという。そしてブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブが録音された1996年、77歳であったルベーン・ゴンザレスは、ファースト・ソロ・アルバム「イントロデューシング」を録音する。そしてこのアルバムは、その続編として位置付けられたアルバムだ。
1曲目のタイトル曲「チャンチュヨ」から、ルベーン・ゴンザレスのピアノにノックアウトされること請け合いだ。楽しい。この人は、心からピアノを弾くことを楽しんでいる。その喜びがびんびんと伝わってくる。ピアノの前に座った瞬間から、彼の心はピアノと一体になり、沸き起こるフレーズを軽やかに紡ぎ出していく。テクニックではない。演奏することの喜びを、ただ、ただ、ピアノの音にして表しているだけだ。
そのメロディーは極めてユニークである。調性を無視した即興も随所にあらわれ、それが、また、ある種「手癖」としてわかってくると、思わず「にやり」とさせられる。マンネリ?そんな言葉に意味はない。俺はただ好きなフレーズを弾き、お前はそれが聴きたいだろ?ルベーン・ゴンザレスのピアノは、そう語りかけてくるようだ。
ベースはオルランド・カチャイート・ロペス。イブライム・フェレールがトラック2、6でボーカルを聴かせてくれる。トラック5ではエリアデス・オチョアのギター、トラック10ではライ・クーダーのトレスを聴くこともできる。このアルバムは2000年に発表された。このCDはワーナーミュージック・ジャパンから発売された日本版だ。
2003.7.21