Omara Portuondo (Buena Vista Social Club) / Omara Portuondo
1950年代は、日本に世界の音楽が輸入された時期だ。マンボ、ルンバ、チャチャチャ、ビギン、カリプソ、こうした音楽のジャンルをあらわす言葉が流行し、曲名や歌詞に取り入れられた曲もたくさん、ある。「ムード歌謡」と呼ばれる音楽は、よく考えると不思議な音楽だ。エスニックな打楽器をリズムに、トランペットやトロンボーン、バイオリンなど、オーケストラの楽器が使われている。これら日本の歌謡曲の源流と言っていいスタイルは、キューバの「ソン」にあるのではないか。このアルバムを聴いていて、そんなふうに思う。
オマーラ・ポルトゥオンドは「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」に出演していた女性ボーカリストだ。キューバでは有名な歌手で、革命の後もトップ・シンガーとして活躍したらしい。このアルバムには、キューバの古い音楽スタイル「トローバ」から、その流れを汲む「ソン」、そしてゆったりとしたリズムの「ボレロ」、ジャズの要素を取り入れた「フィーリン」、アバネラ、カンシオーン、マンボという様々な曲が収められている。オマーラ・ポルトゥオンドの優しい歌声と、なんとも言えない懐かしさを感じるメロディーとハーモニー。ただ、ひたすら、心温まる気持ちにさせてくれる。
ピアノはルベーン・ゴンザレス、ベースはオルランド・カチャイート・ロペス、そしてイブライム・フェレールがトラック8でボーカルを、コンパイ・セグンドがトラック6でギター、エをリアデス・オチョアがトラック1、2でギターを披露している。ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの面々が大活躍だ。9曲目「ベインテ・アニョス(20年の歳月)」は「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」でも歌われていた。
このアルバムは2000年に発表された。このCDはワーナーミュージック・ジャパンから「来日記念盤」として発売された日本版だ。
2003.7.20