We’re Only In It For The Money / The Mothers Of Invention
フランク・ザッパの「ウィアー・オンリー・イン・イット・フォー・ザ・マネー」だが、昨日の紹介アルバムとはジャケットが違う。最初に発表されたときアルバムジャケットはこちらの方で、ビートルズのパロディになった写真は内側に印刷されていたようだ。したがってこちらがオリジナルのジャケットとなる。もちろんザッパはビートルズのパロディ版を表ジャケットにしたいと思っていたのだが、レコード会社側がトラブルを恐れてこちらのジャケットを表にした、との逸話がある。だから1986年のライコ盤では、ザッパは当初の思惑どおりパロディ盤を表ジャケットにしたそうだ。なんともややこしい。
違うところはジャケットだけではなく音も違う。解説の萩原健太氏によると「ザッパは長年、ヴァーヴとの間で音源の所有権に関してもめ続けた。1976年になってようやく訴訟が決着。マスター・テープがすべて自分のもとに帰ってきた。が、レコード会社のマスター管理のずさんさのせいで本盤のマスター・テープの状態は最悪で聴くことができる状態ではなかったという。そこで、この音源を『オールド・マスターズ・ボックス』に収録するにあたり、ザッパはオリジナル盤のリズム・トラックを、デジタル・ベースを使ったりしながらすっかり入れ換えてしまった。1986年にライコディスクからリリースされたCDは、このニュー・ヴァージョンだ」とある。
ここにあるものはRYKOから1995年に発売されたもので、オリジナルのマスターが使われたものだ。1986年のライコ盤と聴き比べてみると音の存在感が全く違う。とりわけドラムの音が全然違うので、曲全体の印象が大きく変わっている。1986年盤の録りなおされたエレクトリック・ドラムの音はクリアだが、やはりこのオリジナルの演奏の方が素晴らしい。どの曲も生き生きと躍動感にあふれている。だが曲によってはクールな気分で味わう方が良いものもあるので、正しいザッパ・ファンとしては、そのときの気分で聴きかえたいところだ。
このアルバムは1968年に発表された。このCDは1995年に「FZ1993年承認マスター仕様」と題され、RYKO/ビデオアーツ・ミュージック/パイオニアLDC株式会社から発売された日本盤だ。「RumpyGravy」とはセットにされていない。なお、上のジャケットをクリックすると両開きの写真が見えるようにしているので、こちらも味わって欲しい。
2002.7.14