Brutal / BLACK UHURU


実のところブラック・ウフルーはマイケル・ローズあってこそと思っているのだが、このアルバムだけは気に入り頻繁に聴いていた。ブラック・ウフルーはマイケル・ローズ、ダッキー・シンプソン、ピューマ・ジョーンズのトリオで活躍してきたが、もともとはマイケル・ローズの加入前に、ダッキー・シンプソンをリーダーにして、ガース・デニス、ドン・カルロスの3人で結成されたグループだ。1976年に「ラブ・クライシス」というアルバムが発表されているが、実質的にパーマネントなメンバーになった「ショウ・ケース」または「ゲス・フーズ・カミン・トゥ・ディナー」が彼らのファースト・アルバムと言われてきた。「シンセミラ」「レッド」「ティア・イット・アップ・ライブ」「チル・アウト」「ザ・ダブ・ファクター」「アンセム」と作品を発表して、ついにマイケル・ローズは脱退することとなる。

このアルバムでリード・ボーカルを務めるのは、ジュニア・リードJuniorReidだ。彼はマイケル・ローズを意識した節回しで、完全にブラック・ウフルーのメンバーとなっている。いい声だ。そしてまた独特のラップ風の早口を時折みせてくれるなど、オリジナリティも発揮している。

アルバム全体を通じて、これまでのブラック・ウフルーのイメージを踏襲した作りだ。前作「アンセム」の大胆な音作りが基本で、ピアノやギターの音を全面に出し、バランスのよい仕上げになっている。ベースも艶のあるビビッドな音で前に出てくる感じだ。そして特筆すべきは、バックコーラスに徹していたピューマ・ジョーンズが「シティ・ヴァイブス」で、ダッキー・シンプソンが「ヴィジョン」でそれぞれソロ・ボーカルをとっていることだ。ピューマ・ジョーンズの歌はお世辞にも上手いとは言いがたいが、ファンには嬉しいプレゼントだ。

聴き所は1曲目の「レット・アス・プレイ」、ジュニア・リードの伸びやかな歌いぶりが素晴らしい2曲目「ドレッド・イン・ザ・マウンテン」、タイトル曲の3曲目「ブルータル」、早まわしの歌いぶりが印象的な5曲目「フィット・ユー・ハフェ・フィット」、シングルカットされた6曲目「グレイト・トレイン・ロバリー」といったところか。スカ風のアレンジを取り入れた9曲目「レゲエ・ウィズ・ユー」もいい。

このアルバムは1986年に発表された。これはRasRecordInc./日本コロムビア株式会社から発売された日本盤のアナログレコードだ。


2001.9.12