The Velvet Underground And Nico / THE VELVET UNDERGROUND


アンディ・ウォーホールのデザインした、あまりにも有名なジャケット。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファーストアルバムだ。名作として名高いアルバムだが、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの真の姿を聴きたいなら、アンディ・ウォーホールのプロデュースから離れたセカンドアルバムの「ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート」の方がいい。だがこのアルバムにはヴェルヴェット・アンダーグラウンドの革新性とアンディ・ウォーホールのポップ感覚、そして魔性の声を持つヴォーカリスト、ニコの3者のエゴのぶつかりあいによる、なんとも言えない雰囲気がある。

この歴史的な名盤を作り上げたのは、ルー・リードLouReed(LeadGuitar,OstrichGuitar,Vocal)、ジョン・ケイルJohnCale(ElectricViola,Piano,BassGuitar)、スターリング・モリソンSterlingMorrison(RhythmGuitar,BassGuitar)、モーリーン・タッカーMaureenTucker(Percussion)、そしてニコNico(Chanteuse)。プロデュースはアンディ・ウォーホールAndyWarhol。30年以上経った現在でも、このアルバムの輝きは失われていない。いったいこれは何なのだろうか。

1曲目「日曜の朝SundayMorning」は俺の大好きな曲だが、このアルバムの中では異質なポップさが感じられる。このポップな雰囲気はアンディ・ウォーホールによる演出ではないかと思うのだが、アルバム解説の大鷹俊一氏によると「スタジオに偶然あったチェレスタをケイルが弾いた」とのことらしい。そして続くのはニコのために演奏されたという印象の強い3曲目「宿命の女FemmeFatale」を除くと、トラック2、4、5とヴェルヴェットらしい曲が並ぶ。そして6曲目は「オール・トゥモロー・パーティーズ」。このアルバムで最も素晴らしい作品だ。アナログ・レコードではA面の最後を飾るこの曲は、とても深い余韻を残してくれる。

続くトラック7は有名な「ヘロイン」だ。この尋常ではないアレンジは、さらに洗練されながらセカンド・アルバムに受け継がれていく。トラック9「ユア・ミラーI’llBeYourMirror」は再びニコのボーカルを聴かせる曲。トラック3と対になるように、混沌としたアルバムの中にあって透明な輝きを感じさせる。トラック10「黒い天使の死の歌TheBlackAngel’sDeathSong」はアルバム中でアバンギャルドな雰囲気を最もストレートに味わうことができる作りの曲だ。そして最後は最高に素晴らしい「ヨーロピアン・サンEuropeanSon」。彼らのエネルギーが凝縮され爆発した傑作といえよう。

アンダーグラウンドを代表するようなアルバムだが、単に目新しいとか、驚かせるだけではなく、歌も演奏もじっくりと聴かせる作りになっている。音楽に対して真摯な態度が感じられるアルバムだ。俺の記憶ではアナログレコードの裏ジャケットにあたる写真がCDにも収められていたので見てくれ。当時のライブの雰囲気が伝わってくる。



なおジャケットについてなのだが、バナナの柄部分には「PeelSlowlyAndSee」とあって、オリジナルのレコードジャケットではシールのように剥がせるようになっていて、下からはピンク色でバナナの中身が見えてくるようであったらしい。このCDではCDトレイの内側にピンクのバナナがデザインしてある。だが俺が知っているアナログレコードは、輸入盤だったが剥がせるようにはなっていなかったことを覚えている。あくまでも初版だけの仕掛けであったのだろうか。

このアルバムは1967年に発表された。このCDはポリドール株式会社/ポリグラム株式会社から「ナイス・プライス1800」として1996年に販売された日本盤だ。リマスターされたものらしい。


2001.8.6