「プログレッシヴ・ロック」とは何だろう。それは単なる音楽のスタイルではない。「芸術性」がある音楽を「プログレッシヴ」と呼べるのではないだろうか。「芸術」はその時点では世間に受け入れられずキワモノ扱いされたりするが、時が経つにつれ表現の主流となり、大衆化するものを言う。そういう意味ではパンクだってジャズだってプログレッシヴの範疇に入るものがある。そしてスタイルとしては同じであっても、単なる模倣でしかない音楽は「プログレッシヴ」ではない。
このアルバムを聴いていてそんなことを考えさせる。アルバム「イエティ」は素晴らしかった。「俺達にはコレがキモチイイのだ!」「この音楽に文句があるか!」という迫力に満ちていた。だがこのアルバムには「イエティ」にあったようなエネルギーを感じない。確かにサウンドはそれらしいものを聴かせてくれるのだが、同じバンドの演奏とは思えない頼りなさだ。ジャケットは素晴らしいのに残念だ。
アナログ・レコードは2枚組みで、1枚目はA面が「Syntelman’sMarchOfTheRoaringSeventies」という組曲、B面は「RestlessSkylight−Transistor−Child」という組曲になっている。こちらのメンバーは、JohnWeinzierl(guitars,vocals)、ChrisKarrer(acc.guitar,e−guitar,violin,vocals)、LotharMeid(bass,double−bass,vocals)、PeterLeopold(drums,percussion)、K.H.Hausmann(electronics,sound−engineer)、ゲストとしてJimiJackson(organ,choir−organ,piano)、AlGromer(sitar)、HenrietteKroetenschwanz(vocals)、Zacher(vocals)、となっている。
2枚目はA面が「TheMarilynMonroe−memorial−church」のインプロヴィゼーション。これは混沌とした音のカオスで始まる曲だ。B面は「ChewinggumTelegram」「StumblingOverMeltedMoonlight」「ToxicologicalWhispering」の3曲がクレジットされている。こちらのメンバーはChrisKarrer(guitars,violin)、JohnWeinzierl(guitars,piano)、LotharMeid(bass)、FalkRogner(organ,electronics)、PeterLeopold(drums,piano)、KalleHausmann(mix+remix)となっている。
とはいえ、サイケデリックな気分に浸れることは間違いない。どこかコミカルな雰囲気のある演奏も、「グル・グル」にも通じるようなユーモアも感じられる。そしてジャケットのアートワークは素晴らしい。裏ジャケットも魅力があるので、こちらも見てもらうことにしよう。
このアルバムは1971年に発表された。UnitedArtistsRecordsから発売された英盤のアナログレコードだ。