Das Hohelied Salomos / POPOL VUH


突然の打楽器が意表を突く。続くのはアラビア風のメロディー、そしてビートの効いた演奏へ。ずいぶんとイメージの変化したポポル・ヴーだ。「おせっかい」の頃のピンク・フロイドにも似た、サイケデリックでありながら穏やかな時の流れを感じさせる演奏になっている。

もう少し聴かせて欲しい、と思うところで1曲目「我らを引き付ける玩具」が終わる。2曲目「いとしき妻」はまさしくサイケデリック・ブルースだ。ギターが曲のイメージを決めている。ギターを弾くのはダニエル・フィッヒェルシャー。このアルバムでは全体を通して彼のギターが中心的な役割を果たしている。

それにしても、どの曲も短いし、やや中途半端な雰囲気で終わってしまう。インド風のエスニックな曲があったり、そういう意味では実験的な部分もあるが、これまでのアルバムにないポップな印象とあいまって、習作が集められた見本盤というような印象がある。そういえばジャケットのデザインも、ジャングルの中で動物に囲まれた人間というものだ。

このアルバムは1975年に発表された。そしてこれは1994年にキングレコードから「ユーロピアン・ロック・コレクション」として発売された日本盤のCDだ。


2000.9.24