Ash Ra Tempel / ASH RA TEMPEL


「アシュラ」は争いを好むインドの鬼神。その名前を冠したアシュ・ラ・テンペルは、マニュエル・ゲッチングManuelGotsching(Guitar,Vocals,Electronics)、ハルトムート・エンケHartmutEnke(GibsonBass)、そしてタンジェリン・ドリームのオリジナル・メンバーであったクラウス・シュルツェKlausSchulze(Drums,Percussion,Electronics)の3人で結成された。このアルバムは彼らのデビューアルバムだ。ジャケットは凝った作りで、中央部から両側に観音開きに開くようになっている。開いたところを見せてあげよう。




ジャケットを一枚開くと上のような白黒のページになる。そしてもう一枚内側には、次のようなイラストが現れる。彼らの表現しようとした音楽感、宇宙観といったようなものが表現され、ジャケットを含めたトータルな作品としての彼らのこだわりを感じる。






A面は「Amboss」と題された19分40秒の曲。「Amboss」とは工作で使う金敷台のことだろうか。リズムも比較的アグレッシヴで、とりわけ中盤以降はサイケデリックなギターのインプロヴィゼーションが味わえる。「ウマグマ」あたりのピンク・フロイドに近い印象がある。B面は25分24秒の「Traummaschine」。訳せば「夢機械」というところか。エコーを効かせたギターが静かで幻想的な雰囲気を醸し出している。あまりシンセサイザーなどの電子楽器が使われていないところは、タンジェリン・ドリームのファーストアルバムに近いアプローチを感じる。瞑想的でドラッグ感覚にあふれたアルバムだ。

このアルバムは1971年に発表された。これはオウルOhrから発売されたアナログレコードだ。

2000.9.3