Viva / LA DUSSELDORF


実はクイーンのセカンドアルバムを紹介しようと思っていたのだが、何度も聴きながら書くべき言葉が見つからず、何日も戸惑ったままでいる。残念だがクイーンの紹介はしばらく待ってくれ。今日は再びユーロピアン・ロック・コレクションから選んでみた。

オザンナの「ミラノカリブロ9」、ニュー・トロルスの「コンチェルト・グロッソ」から非英米のロックを聴くことになり、その重厚なストリングスと激しいインプロビゼーションの嵐を存分に楽しんだ。だから最初にこのアルバムを聴いたときは、無意識のうちにも期待したものと違っていたので、少しがっかりした、というのが正直な感想だった。さらにまた当時はジャーマン・ロックをほとんど聴いたことがなかったので、その潮流の中で位置づける知識も持たなかった。

ジャーマン・ロック、というかエレクトリック・ミュージックといえば、最も有名なグループはクラフトワークだろう。そしてこのラ・デュッセルドルフのメンバーの一人、クラウス・ディンガーKlausDingerはクラフトワークのオリジナルメンバーでもある。だがそのサウンドは「アウトバーン」や「マンマシーン」といったクラフトワークの代表作とは印象を異にする。

クラフトワークの場合は、グルーヴするのはあくまで頭の中だけだ。クラフトワークは機械に指令を出し、機械は人間の音楽を真似て演奏しようとする。だがこのラ・デュッセルドルフでは、あくまで演奏者は人間である。感情を抑え、表面的には単調なリズムであっても、フィジカルな香りがぷんぷんと感じられる。現代につながるものとしては、電子音楽よりもむしろ、パンクロックやニューウェイヴに近い。例えばウルトラヴォックスを連想したりする。あるいはヴィサージだろうか。ニューロマンティックと呼ばれたりしたものを思い出す。

このアルバムを作ったラ・デュッセルドルフのメンバーは5人。先に書いたクラウス・ディンガーとともにノイNeuのメンバーだったトーマス・ディンガーThomasDinger、ハンス・ランペHansLampeに、NikolausVanRheinとHaraldKonietzkoという2人のミュージシャンを加えたものだ。彼らは1977年に結成し、ファーストアルバムを発表。これはセカンドアルバムにあたる。スピーカーから流れてくるリズムに浸りながらライナー裏にある「LaDusseldorfとその周辺」という人脈図を見ていると、クラスターClusterやハルモニアHarmonia、ノイ、さらにはアシュラ・テンプルAshRaTempelやポポル・ヴーPopolVuh、タンジェリン・ドリームTangerineDreamなどの名前が目に入り、ジャーマンロックの潮流をしっかりと聴いてみたい気分になってきた。

このアルバムは1978年にテレフンケン・レコードTelefunkenRecordsから発表された。これは1979年にキングレコードから「ユーロピアン・ロック・コレクション1800」と題して発売された日本盤のアナログレコードだ。

2000.8.20