801 Live / 801


ロキシー・ミュージックのギタリストとして有名なフィル・マンザネラは、ロキシー・ミュージック参加以前にはクワイエット・サンQuietSunというグループに在籍していた。1971年にクワイエット・サンは解散し、フィル・マンザネラはロキシー・ミュージックに参加することとなる。このアルバム解説の伊藤政則さんは1971年のクワイエット・サンについて「アルバムを一枚発表している」と書いているのだが、私の手元にある書籍、レコード・コレクターズ増刊「ブリティッシュ・ロック・Vol.2」の小山哲人さんによると「レコードを残すことなく解散」とある。

1971年の時点でアルバムを残したかどうか定かではないが、いずれにせよクワイエット・サンは活動を停止した。その後フィル・マンザネラはロキシー・ミュージック在籍中の1975年にソロ・アルバム「ダイヤモンド・ヘッド」を発表するのだが、そのときクワイエット・サンのメンバーも集まることとなった。先の書籍で小山哲人さんは当時の様子として「昼はマンザネラのソロ、夜はクワイエット・サンというスケジュールで行われたらしい」と書いている。

そしてこの801のライヴだ。メンバーはフィル・マンザネラ(Guitar)、イーノEno(Vocals,Synthesizer,Guitar,Tapes)、ビル・マコーミックBillMacCormick(Bass,Vocals)、フランシス・モンクマンFrancisMonkman(FenderRhodes,Clavinet)、サイモン・フィリップスSimonPhillips(Drums,RhythmBox)、ロイド・ワトソンLloydWatson(SlideGuitar,Vocals)の6名。レディング・フェスティバル等でライヴを行ったそうで、このアルバムには1976年9月3日にクイーン・エリザベス・ホールというところで行われた、ザ・サウス・バンク・ミュージック・フェアでの録音が収められている。

1曲目のラグリマはアルバム「ダイヤモンド・ヘッド」からの曲。2曲目のTNKはビートルズのトゥモロー・ネバー・ノウズだ。大胆なアレンジにイーノの声がサイケデリックに響きわたる。続いてクワイエット・サンの曲、東の小惑星/イースト・オブ・アステロイドでアルバム前半の最高潮を迎える。続くロング・ロングもクワイエット・サンの曲。そしてA面最後を飾る5曲目はイーノのアルバム「アナザー・グリーン・ワールド」からサムバー・レプティルだ。ライヴらしい躍動感のある演奏に、また違った曲の印象を受ける。

B面1曲目は再びイーノの曲であるベイビーズ・オン・ファイア。イーノのポップな面が良く出た曲で、ヴォーカルも存分に楽しめる。続いてリミッターの効いたギターのフレーズが心に染みるダイヤモンド・ヘッド、ミス・シャピロとフィル・マンザネラのソロアルバムからの曲が続く。そしてキンクスのユー・リアリー・ガット・ミーのカヴァー。熱い演奏にイーノの優雅なヴォーカルが不思議な調和をみせている。最後はイーノの曲、サード・アンクルの凄まじいスピード感で終わる。

このアルバムは1976年に発表されたもので、これはポリドール株式会社から発売された日本盤のアナログレコードだ。

2000.8.16