フランスのロックバンド「アトール」のセカンドアルバムだ。アトールの作品の中でも名盤として多くの書籍に紹介されるものだ。音楽之友社の「ヤング・パーソンズ・ガイド・トゥ・プログレッシヴ・ロック」でこのアルバムを紹介する片山伸さんによると、アトールは1972年に結成され、1981年の解散までにベスト盤を含む5枚のアルバムを発表したそうだ。このアルバムについては「LP片面を使った『夢魔』を含む各曲のテンションの高さは、この第2作が一番だ」と賞賛している。
今のところこのアルバム以外にはサードアルバム「Tertio」しか聴いたことがないのだが、確かにアルバムのテンションはこちらの方が抜きんでている。B面の組曲「夢魔」も素晴らしいが、A面1曲目「悪魔払いのフォトグラファー/LePhotographeExorciste」の冒頭、爽やかな空間を作るシンセサイザーの音から、ぐいぐいと不安と狂気の暴力的サウンドに展開するところが素晴らしい。
ジャケットの裏には6人のメンバーが写真に写っている。ヴォーカルのアンドレ・バルゼルAndreBalzer(Chant,Percussions)、リシャール・オーベルトRichardAubert(Violon)、ChristianBeya(Guitare)、AlainGozzo(Batterie,Percussions,Debilites,Vocales)、MichelTaillet(Eminent,Clavinet,Debilites,Vocals,Percussions)、Jean−lucThillot(Basse,Vocaux)である。技術的には目を見張るプレイではないが、バンドとしてのまとまりが凄まじい迫力を持っている。自分たちのやりたい音楽が明確に形になって出ているという迫力だ。
このアルバムは1975年に発表されたもので、これは1979年にキングレコードから第2期「ユーロピアン・ロック・コレクション」として発売された日本盤のアナログレコードだ。
2000.8.13