The Butterfly Ball / Roger Glover And Guests


ディープ・パープルのベーシストであったロジャー・グローヴァーは、様々なプロジェクトに精力的に取り組んだ。俺が好きだったのは、科学映画のサントラとして発表された「ボディ」と、ロック組曲としてトータルアルバムに仕上げられた「エレメント」だ。この2枚はプログレファンにも十分に楽しめる力作と思う。そしてこのアルバムも、ロジャー・グローヴァーのいま一つの側面を知る手がかりとなる一枚だ。

アルバムジャケットの内側には、このような紹介がある。「オウレリア・エンタープライズ社と協力の下に、ジョナサン・ケイプ社とタイムズ新聞社によって初めて1973年に出版された、アラン・アルドリッジAlanAldridgeの書籍「ザ・バタフライ・ボール」のデザインとイラストから、オウレリア・エンタープライズ社と共同でブリティッシュ・ライオン・フィルムによって制作されたテレビアニメ・シリーズのためにロジャー・グローヴァーによって脚色された。」

何よりも驚かされるのは、多彩な参加ミュージシャンだ。クレジットされているのは、ロジャー・グローヴァー自身(Synthesiser,Piano,Guitar,BassGuitar,Percussion,BackingVocals)、エディー・ハーディンEddieHardin(Piano,Organ,Synthesiser,BackingVocals)、レス・ビンクスLesBinks(Drums)、レイ・フェンウィックRayFenwick(Guitar)、モ・フォスターMoFoster(BassGuitar,DoubleBass,FingerPops)、マイク・モーランMikeMoran(Piano)、エディ・ジョブソンEddieJobson(Violin)、マイク・ジャイルズMikeGiles(Drums)はキングクリムゾンのオリジナルメンバーのマイケル・ジャイルズだろうか、そしてピンク・フロイドPinkFloydの代表作「狂気/DarkSideOfTheMoon」でロック史上に残るスキャットを聴かせてくれたライザ・ストライクLizaStrike(VocakBackings)などが参加している。

クレジットされたミュージシャンも多彩ながら、ゲストとして呼ばれているヴォーカリストがまた素晴らしい。2曲目「GetReady」を歌うのはグレン・ヒューズGlennHughesだ。第3期ディープ・パープルではデヴィッド・カヴァーディルの太い声と対照的な彼のハスキーな声も魅力だった。8曲目「BehindTheSmile」ではデヴィッド・カヴァーディルの歌が聴ける。彼が歌うにふさわしいブルース・フィーリングあふれる曲だ。9曲目「フライ・アウェイ」はライザ・ストライクが歌う。11曲目「SittingInADream」は、元リッチー・ブラックモアズ・レインボーRitchieBlackmore’s Rainbowのロニー・ジェイムズ・ディオRonnieJamesDioが優しい声で歌う。15曲目では「ペイス・アシュトン・ロードPaiceAshtonLoad」でイアン・ペイスやジョン・ロードと共に活動するトニー・アシュトンTonyAshton、16曲目では初期イアン・ギラン・バンドで歯切れのいいベースを楽しませてくれたジョン・ガスタフソンJohnGustafsonが歌う。アルバム最後を飾る18曲目「LoveIsAll」は再びロニー・ジェイムズ・ディオが素晴らしい声で感動的に歌い上げ、静かな19曲目「Homeward」へで収束を迎える。最期の曲を歌うのもロニー・ジェイムズ・ディオだ。

ディープ・パープル・ファミリーと言えるミュージシャンの集まりと思うかも知れないが、他にもヘレン・チャペルHelenChappelle、ニール・ランカスターNeilLancaster、ジョン・ゴディソンJohnGoodison、ミッキー・リー・ソウルMickeyLeeSoule、ジュディ・クールJudiKuhl、ジミー・ヘルムスJimmyHelms、エディー・ハーディンEddieHardinというミュージシャンがヴォーカルをとっている。このアルバムは1974年に発表されたもので、EMIから発売された英盤のアナログレコードだ。

2000.8.12