イタリアのロックバンドは、PFMを筆頭に、アレアArea、ゴブリンGoblin、ニュー・トロルスNewTrolls、バンコBanco、 イル・ヴォーロIlVolo、イ・プーIPooh、フォルムラ・トレFormura3、など少しずつ聴いてきた。その中でもオザンナはロック色の濃いグループだ。「野生的」であるとか「土着的」であるという言い方もされるが、俺の印象では「バンド」としての魅力が強く感じられるグループだと思う。これはオザンナのファーストアルバムだ。
例えば、恐らく世界に通用するイタリアン・ロックバンドとして最も成功したPFMは、その前身「クエッリ」に、スター・プレイヤー「マウロ・パガーニ」を加えたもので、優れた演奏家集団のバンドと言えよう。これに対してオザンナは、メンバーの技量はやや劣るものの、その攻撃的なパッションはPFMに優るとも劣らない。2曲目のタイトル曲「ル・オモ」の激しく偏執的なギターカッティング、そして前のめりのたたみかけるドラムスがオザンナの魅力を良く表わしている。そしてオザンナは、ステージでは演劇的な要素を持っていたと言われ、その雰囲気を感じられる写真がアルバム裏ジャケットに見られる。
写真が小さいので分かり辛いが、メンバーがメイクをしているのがわかるだろうか。アルバム解説で北村昌二さんは、オザンナのステージングに関する逸話を紹介している。それはオザンナのメンバーの一人、エリオ・ダンナは「いつだったか、ジェネシスがイタリアにやってきた時、オザンナと共演したんです。ピーター・ガブリエルは花びらのような帽子をかぶって歌っていました。私たちはそのコンサートでは仮面劇のようなスタイルのショーを企画して全員仮面をつけてプレイしたんです。それから一年くらいしてある雑誌の表紙に載ったガブリエルの写真を見て大変驚きました。彼はそのコンサートで私たちが装っていたのと全く同じ格好をしていたのです」と語ったという。
このアルバムは1971年に発表された。これはキング・レコード株式会社から「ユーロピアン・ロック・コレクション2200」として発売された、日本盤のアナログレコードだ。
2000.8.8