「イタリアン・ロック」に始めて出会い、「ユーロ・ロック」の素晴らしさに夢中にさせてくれることになったのがこのアルバムだ。おそらく今でも日本ではあまり一般に知られていないグループだが、俺と同様に当時このアルバムを含む「ヨーロピアン・ロック・コレクション」シリーズに狂喜した人は多いはずだ。そしてこれは強調しておきたいことだが、何枚か発売されたシリーズの中で俺がこのアルバムを手にしたのは、ジャケットのデザインが気に入ったからだ。音楽を聴くとき、レヴューなどを読んで参考にするのと同じくらい、ジャケットから受ける印象というのは大きい。また一度聴いたアルバムならば、ジャケットを見ただけでサウンドが頭の中によみがえる。
さてこのアルバムは、ファーストアルバム「ル・オモ」に続くオザンナの2作目にあたる。1曲目の「プレリュードPreludio」は幻想的なシンセサイザーとフルート、ピアノ、そしてドラマチックなオーケストレーションで始まるが、途中から粗暴とも言えるエレクトリック・ギターが顔を出し、強引なくらい激しくロック的に展開していく。この静と動との対比が、初めて聴いたときとても新鮮だった。2曲目の「テーマTeme」も冒頭は穏やかに始まるが、ドラムとギターに展開するところでロック的になる。ここではバイオリン奏法のような印象的なギターを聴くことができるが、これは恐らく実際のギターをテープの逆回転で編集したものだ。これも昔のオープンリール・テープレコーダーがあればテープを裏返しにして回し、その真偽を確かめることができるのだが、CDやMDといったデジタル・メディアではできないことだ。
3曲目からは「ヴァリエーションVariazione」がA面後半からB面にかけて1から7まで用意されている。この中ではロック的なアプローチが強く、PFMを想起させる「ヴァリエーション1」、フォーカスのタイス・ヴァン・リーアを彷彿させるアグレッシヴなフルートの「ヴァリエーション3」、同じくフルートで始まるが、変拍子風のギターが印象的な「ヴァリエーション4」、同じく攻撃的なギターがいい「ヴァリエーション6」あたりが俺の好みだ。
そして最後の10曲目「カンツォーネCanzona」はヴォーカル中心の叙情的な曲で、アルバムを終えるにふさわしい。いかにもヨーロピアン・ロックらしさを堪能できる名曲と思う。
このアルバムには1972年に発表された。これはキング・レコードから「ユーロピアン・ロック・コレクション1800」と題されて1979年に発売されたもので、このシリーズにとっては記念すべき第一期のシリーズとなる。解説にはたかみひろしさんが熱い思いを語っている。思えばこのたかみさんの文章には、雑誌の記事を含めて大いに影響を受けた。「Osannna,NewTrolls,Novaとその周辺」という相関図も載っている。
2000.7.27