このライヴ・アルバムはいわく付きのものだ。名盤「ロックス」そして「ドロー・ザ・ライン」、「ナイト・イン・ザ・ラッツ」を発表した後、スティーヴン・タイラーとの不仲が原因と言われているのだが、1979年にリード・ギターのジョー・ペリーが脱退、しばらくしてセカンド・ギターのブラッド・ウィットフォードも脱退、そしてスティーヴンタイラーの事故、とバンドは停滞期を迎える。もちろん新メンバーを加えて活動を続けているのだが、実質的に復活したと言われるのは1984年にジョー・ペリーとブラッド・ウィットフォードが戻ってきてオリジナル・メンバーが揃ったときだ。そして1985年にアルバム「DoneWithMirrors」を移籍したゲフィンから発表した後、以前に在籍していたコロンビアからこのライヴ・アルバムが発表された。
裏ジャケットには「AEROSMITH−1973−1986」と書かれていて、具体的なライヴの時期や会場などが明確でない、オリジナル・メンバーの他にジミー・クレスポJimmyCrespoとリック・デュフェイRickDufayの名前がクレジットされている、バンドのメンバーはこのライヴ・アルバムについて語らず、発表は本意ではなかったようだ、ということからアルバム解説で森岳史さんは「発表当時ファンの間ではコレはジョー・ペリーがバンドを離れていた時期のライヴなのでは?といった憶測が飛び交っていたのも事実だ」と控えめに書いている。しかし、やはり、これはジョー・ペリーのギターではない。ギターの音というものは、いかにエフェクトをかけようが、ミキシングで加工しようが、そう簡単に変えられないものだのだ。このライヴではジョー・ペリーのあの奥深いピッキングの響きが感じられない。
とはいえスティーヴン・タイラーのヴォーカルは健在だし、エアロスミスのライヴ・アルバムであることは間違いない。このアルバムは1986年に発表された。これは1993年にソニー・ミュージック・エンターテインメントSonyMusicEntertainmentInc.から発売された日本盤のCDだ。
2000.7.16