今日はマグマMagmaのリーダー、クリスチャン・ヴァンダーChristianVanderのソロアルバムだ。あるミュージシャンに出会うとき、最初にどのアルバムを聴いたか、で印象が左右されることが多い。俺にとってクリスチャン・ヴァンダーは、「マグマの」というよりも「トリスタンとイゾルテの」というイメージがある。そう、マグマのアルバムを聴く前に、このアルバムでクリスチャン・ヴァンダーと出会ったのだ。
もちろんマグマのドラマーそして実質的リーダーということで名前は聞いていた。だからこのアルバムも手に入れることになったのだが、当時日本ではマグマの知名度は皆無といっていいほどなく、マイナーなプログレ雑誌の記事で断片的なことしか伝わって来なかった。そのとき「ユーロピアン・ロック・コレクション」と題して、オザンナやニュー・トロルス、マウロ・パガーニらを紹介してくれたキング・レコードからこのアルバムが発売されたのだった。
とにかく冒頭の悪魔的な変拍子に脳天を一撃される。まさにオペラの雰囲気のするコーラスと鍵盤を打ち付ける激しいピアノ。そう、マグマ=クリスチャン・ヴァンダーのロックは「男」の匂いがぷんぷんする。アナログ・レコードのA面とB面にそれぞれ6曲づつの曲名が書かれているが、実質的に片面全部が切れ目無し。アルバム全体で一つの作品と考えていい。
解説でFool’sMateの北村昌士さんは「コバイヤ星から帰還した高次元の宇宙意識を持つ知的生命体」であるマグマの物語を簡単に説明している。そう、コバイヤ語で歌われているので、地球人である我々には言葉が理解できないので困るのだ。またこのアルバムの背景として「本アルバム『トリスタンとイゾルテ』は、1974年に同タイトルのフィルムのオリジナル・サウンド・トラックとして発表されたもので、マグマ物語と直接的に関係はないが、参加メンバーはクラウス・ブラスクィッツ、ステラ・ヴァンデール他、サード・アルバムとほぼ同じ顔ぶれによって録音されている。壮大な曲展開とコーラスによる強迫的なイメージは、あのマグマの世界そのものである。イヴァン・ラグランジュ監督による、この有名な伝説でワーグナーの楽劇としても名高い作品は、マグマの音楽とラグランジュの映像で、非常に荒涼としたシュールリアリスティックなムードに貫かれた観念的な旅物語として独自の体験性を開示している」と紹介されている。
このアルバムは1974年に発表されたものらしい。これはキング・レコードから発売された日本盤のアナログレコードだ。「’80年ヨーロッパからの美しき衝撃」とうたわれて発売された「第4期ヨーロピアン・ロック・コレクション2000」シリーズの一枚だ。
2000.7.7