Concerts / HENRY COW


今日は再びダグマー・クラウゼ関連のアルバムを紹介する。ヘンリー・カウの2枚組みライブアルバムだ。これは超強力だぞ。何といってもメンバーが素晴らしい。リンゼイ・クーパーLindsayCooper(bassoon、flute、oboe)、クリス・カトラーChrisCutler(drums)、ダグマーDagmar(voice)、フレッド・フリズFredFrith(guitar、piano)、ジョン・グリーヴスJohnGreaves(bass、voice、celeste)、ティム・ホジキンソンTimHodgkinson(organ、clarinet、altosaxophone)、おまけにゲストとしてロバート・ワイアットRobertWyattも2曲で歌を聴かせてくれる。

圧巻は1枚目A面全部を使ったメドレーだ。アルバム「InPraiseOfLearning」からフレッド・フリスとクリス・カトラーの共作「BeautifulAsTheMoon−TerriblesAsAnArmyWithBanners」をテーマに、フリスの「NirvanaForMice」、フリス−カトラー共作の「OttawaSong」、ロバート・ワイアット−マコーミック共作とクレジットされた「GloriaGloom」を挟み込んで22分50秒の大作になっている。すさまじいインタープレイ。アルバムでは一歩退いたクールさを見せるヘンリー・カウだが、ここにはアルバムで聴くことのできない熱い演奏がある。

B面では先に述べたロバート・ワイアットの歌を聴くことができる。「BadAlchemy」はアルバム「DesperateStraights」からの曲で、ダグマーの歌にワイアットの声が重なる。「LittleRedRidingHoodHitsTheRoad」はワイアットのアルバム「ロック・ボトムRockBottom」からの曲。ダグマーの声も重なり、アルバムとはまた少し違うスピード感がある。

1枚目の後半「Ruins」からLP2枚目にかけて、完全なフリー・ミュージックになる。よほど集中して聴かなければ味わえない、気軽には聴けない音楽だ。しかしここにはフリー・ミュージックとしての実に奥深い様々な演奏のバリエーションがある。エネルギーが体に十分あるときに心して聴きたいところだ。

録音は1975年に行われた3つのコンサートから選んで構成されている。5月21日NewLondonTheatre、6月25日ノルウェーHovikoddenArtsCentreである。このアルバムは1977年にミラノのL’Orchestraから発売されたとある。イタリア盤の2枚組みアナログレコードだ。

2000.6.26