Eskimo / THE RESIDENTS


FM−fan増刊号「インターネットで音楽を楽しむ本」が発売され、この本のWebコーナーで「カルト・ミュージック・コレクション」を紹介していただいた。記事ではとても誉めていただいて、知り合いに見せるたび「わかる人にはわかるんだよなー」と自慢しながら、実はちょっと恥ずかしかったりしてます。顔写真入りだったしね。

さてこれは昨日も紹介したレジデンツの「エスキモー」ですが、昨日のはボーナストラック入りでCD化されたもので、今日のはオリジナルのLP。ジャケットの印刷はやはりオリジナルが奇麗だよ。だいたいレジデンツの音楽は、真面目なんだか冗談なんだかわからないところがある。そこが魅力でもあるのだが、そのレジデンツのアルバムの中でも、これは、まったく、とらえどころがない。

ジャケットの裏には英語でこのように書かれている。「グリーンランドの北、そう、北極圏の中。そこは北極をとりまく氷の大陸。そこには蒙古人の子孫である遊牧民族、エスキモーと呼ばれる人々が住んでいる。彼らの文化は、冒険物語と儀式的な音楽によって幾世代にも伝えられてきた。このアルバムは、エスキモーの儀式的な音楽を再現するだけでなく、彼らの生活の背景を描き出した物語である・・・」

さて曲を聴いてみるとどうだろう。前時代的な風音のSEをバックに、ほら貝のような音が聞こえる。そのフレーズはエスキモーの・・・というより昔からのレジデンツのフレーズ。海辺の水音が聞こえ、セイウチか何かの動物の吠える声をコラージュしてある。まるで演劇のバックミュージックのようだ。コーラスが聞こえてくる。これもエスキモーの歌?いやいや、まさしくレジデンツの歌だ。

このアルバムを読み解くには、歌詞の内容を吟味するしかない。しかしこのアルバムを聴いたエスキモーが「俺達の音楽だ」とは言わないと思うぞ。最近手に入れた音楽の友社発行の「ヤング・パーソンズ・ガイド・トゥ・プログレッシヴ・ロック」にもこのアルバムの評があるが、的を得ているとは思えない。

このアルバムは1979年に発表された。TheCrypticCorporation/RalphRecordsから発売された米盤のアナログレコードだ。

2000.6.17