レジデンツのアルバムで最初に聞いたのは、「ダック・スタブ/バスター・アンド・グレンDuckStab,Buster&Glen」だった。これは今でもレジデンツのアルバムの中で、いちばん好きなものだ。そして今日紹介するこのアルバムは、より洗練されたユーモアのセンスにあふれた素晴らしいアルバムだ。「コマーシャル・アルバム」というタイトルもニヤリとさせてくれる。
とはいうものの、レジデンツのユーモアというものは、既成の音楽への理解とともに、それを解体し再構築することの面白さにある。これを誰もが楽しいと思うかどうかは難しい。俺のようなヒネクレモノしか「楽しめ」ないものかも知れない。だいたいレジデンツを聴いているなんて奴を見たことも聴いたことも・・・なかったのだが、そんな奴と先日はじめて出会うことができたんだ。そいつのことは明日このページで紹介してやる。
このアルバムにはA面20曲、B面20曲の合計40曲が収められている。1曲の長さはいずれも1分数秒。音楽のエッセンスが最小限の表現で短い時間の中に閉じ込められている。さらにこのアルバムを輝かせているのは、ゲスト・ミュージシャンとして参加したフレッド・フリスFredFrithだ。例えばA3「PicnicBoy」やA14「DieInTerror」、B21「UpsAndDowns」では明らかに彼の弾くベースの音が聴けるし、恐らくA13「TheNamelessSouls」やA15「LoveLeaksOut」、A18「TragicBells」など多くの曲で彼のものだと思われるギターが聴ける。またSpecialAppearancesとしてクリス・カトラーChrisCutler、ドン・ヤコヴィッチDonJackovich、サンディ・サンドウィッチSandySandwich、Mud’sSis、スネイク・フィンガーSnakefingerの名前がある。そしてSpecialSecretAppearancesとあるが名前は書かれていないという、思わせぶりな記述もある。もしかしたらフレッド・フリス人脈の大物が参加していたのではないか、などという想像もでき、そう思って聴くとB31「TroubledMan」のスネアドラムや、B29「Moisture」、B32「LaLa」などのパーカッションで聴かれる歯切れの良いリズムは、他のレジデンツのアルバムでは聴かれない雰囲気で、ゲストミュージシャンの影響ではないかと思わせる。曲名がわかるように裏ジャケットも見せてあげよう。
他のレジデンツのアルバムで聴ける重苦しい雰囲気とは違い、全体的にカラッとした雰囲気があるので、レジデンツ初体験の人にも受け入れやすいのではないか。すなわち、「コマーシャル・アルバム」と名づけただけのことは、ある。
このアルバムは1980年にRalphから発売されたもの。