Happy Ending / Terry Riley


昨日紹介したアルバム「ア・レインボウ・イン・カーヴド・エアー」はテリー・ライリーがロック界で認められるきっかけになったアルバムらしい。俺が持っているのは輸入盤だったが、今日紹介するこいつは日本盤で、紅石竜子という人が解説を書いている。それによれば、1971年頃にテリー・ライリーはCBSから「インC」というアルバム、BYGというレーベルから「鍵盤楽器のスタディ2」というアルバムを発表したらしい。これらは日本でも発売されたが、当時のシーンからは不評で売れ行きも全然だめだったそうだ。その後、CBSにおける2枚目アルバムが昨日紹介した「ア・レインボウ・イン・カーヴド・エアー」であり、これは輸入盤店のヒット作となったらしい。

解説にも書かれているように、テリー・ライリーの音楽はミニマル・ミュージックだ。小さなフレーズを繰り返し、その音の重なりを楽しむ。ロック界で流行ったミニマル・ミュージックとしてはフィリップ・グラスが有名だが、解説の紅石さんはライリーの音楽につながる作曲家としてフィリップ・グラスの他に、ラモンテ・ヤング、スティーヴ・ライヒ、ポーリン・オリヴェロス、の名をあげている。スティーヴ・ライヒはかなり聴き込んだが、ラモンテ・ヤングは名前を聞いたくらいしか知らない。ポーリン・オリヴェロスとは名前すら知らない作曲家だ。まだまだ現代音楽も奥が深い。

だがこのアルバムではミニマル性は薄く、どちらかといえば情緒的な作りになっている。A面の「友の死からのたびだち(18:30)」では、「〜カーヴド・エアー」の作風に近いフレーズが多用される。しかしB面のタイトル曲「ハッピー・エンディング(18:30)」では繰り返し性はほとんど意識されず、情緒的で日本風ともとれる東洋風の旋律があふれている。美しく心に染み込む優しい音が、おそらくこのアルバムの魅力であり、万人に好まれるところだとは思うが、俺には「〜カーヴド・エアー」の大胆な作風の方が心を惹かれる。「眼を閉じて」というフランス映画のサウンドトラックだということで、その点からもわかりやすい音楽に作る必要があったのかも知れない。

このアルバムは1972年に発表された。ワーナー・パイオニアから発売された日本盤のアナログレコードだ。

2000.6.12