ジャズ大名 / 筒井康隆 ・ 山下洋輔


共同通信社のTさんが山下洋輔を聴くというので、探してみたらこれしかなかった。だがこれはカルトなアルバムだぞ。「サウンド図鑑」という副題が付いているが、筒井康隆原作、岡本喜八監督の映画「ジャズ大名」のサウンドトラック・アルバムだ。中に紹介された写真には、大名に扮する古谷一行、家老役の財津一郎とともに筒井康隆、山下洋輔らが一同に会して写っている。

筒井康隆の原作は「エロチック街道」に収められている。以前に読んだのだが、あまり印象には残っていない。ごめんなさい。アルバムに紹介されているあらすじは、江戸時代末期、黒人JAZZマン3人が乗った船が難破し、日本に漂流。某大名のところへやってくるが、この大名がまた音楽好きで、彼らのJAZZに心をうたれ城中JAZZの大合奏となる・・・というもの。アナログレコードのA面がサウンド・トラック、B面は「筒井康隆プレイズ・サイド」となっていて、筒井康隆自身がクラリネットを吹いている。山下洋輔をはじめ、つのだ・ひろ、村上・ポンタ・秀一、向井滋春、らの豪華メンバーに加えて、仙波清彦、藤尾よしこの名前がある。そう、これは「はにわオールスターズ」につながるコンセプトアルバムだ。

A面のサウンドトラックは、まさに和洋合奏という感じでにぎやかで楽しげ。クラリネット、コルネット、テナーサックス、アルトサックス、チューバ、バンジョー、ベース、ドラムといったジャズ楽器に加えて、和太鼓、小鼓、大鼓、団扇太鼓、琴、琵琶、三味線、篳篥(しちりき)、篠笛、柝(たく、拍子木のこと)盥(これは漢和辞典を引くのも難しかった、たらいのこと)、算盤、鍋、釜、洗濯板までクレジットされている。B面はおおらかなニューオーリンズの雰囲気がするジャズが聴ける。俺も年をもう少しとったら、筒井康隆氏のようにクラリネットを吹いてみたい。

このアルバムは1986年に徳間ジャパンから発売された。もちろん日本盤。アナログ・レコード。

2000.6.9