The Drum Is Everything / Carmel


昨日紹介したカーメルのミニアルバムは、多少クセのあるものだったが、このアルバムはもっと聴きやすい。基本的にはカーメル、ジミー・パリス、ゲリー・ダービーのトリオだが、ゲストでオルガンやホーンセクション、バッキング・ボーカルも加えられているし、トースターも参加している。トースターはCrazyJoeという人で、イエローマンに良く似た雰囲気を持ったトーストを聴かせてくれる。

1.More ,More ,More
2.Stormy Weather
3.The Drum Is Everything
4.I Thought I Was Going Mad
5.The Prayer
6.Rockin’ On Suicide
7.Rue St Denis
8.Willow Weep For Me
9.Tracks Of My Tears
10.Bad Day


「モア・モア・モア」「ストーミー・ウエザー」は伝統的なジャズ・ブルースに忠実な曲。しかし3曲目のタイトル曲「ザ・ドラム・イズ・エブリシング」からカーメル独特のクセが出てくる。「アイ・ソート・アイ・ワズ・ゴーイン・マッド」の中間部、シモンズ・エレクトリック・ドラムの連打部分は、ブルースをはるかに逸脱した「はしゃぎぶり」が心地よい。

「ザ・プレイヤー」、そしてホーンセクションが心地よい「ロッキン・オン・スイサイド」とトラッドな雰囲気の曲が続くが、7曲目「ルー・セント・デニス」はトースターが入ったダブ調の曲。このアルバム中で最も不思議な雰囲気を持った曲だ。深くリバーブのかかったシモンズの固い音もいい感じだ。

力強いドラムのリフが印象的な「ウィロー・ウィープ・フォー・ミー」の次は、先行発表されたミニ・アルバムのトップにも収められていた「トラックス・オブ・マイ・ティアーズ」だ。ミニ・アルバムではベースとドラムだけの伴奏だったが、ここではオルガンも加えられて、より洗練された演奏になっている。そしてしっとりと聴かせる「バッド・デイ」はアルバムの最後を飾るにふさわしい。

このアルバムは1984年にポリドール株式会社から発売された日本盤のアナログレコードだ。


2000.1.23