Unbehagen / NINA HAGEN BAND


聴きたいと思うと我慢ができなくなってくるアルバムがある。ニナ・ハーゲンのファーストアルバムもその一枚だ。これはかつて一度も手にしたことがない。FMラジオの番組から録音したものを宝物のように大切に持っていた。ファーストアルバムは彼女の「毒」が押さえられていて、後に聴いたこのセカンドアルバムや1982年の「ヌンゼクスモンクロック」の刺激に比べてストレートな印象を受けたので、あらためて手に入れようとは思わなかったのだ。一度どこかの中古レコード店でアナログレコードを見つけて食指が動いたが結局買わなかった。それが今になって悔やまれる。もう一度あのファーストアルバムを聴いたときの新鮮な気持ちを感じたい。必ずいつか手に入れるぞ。

今日ここに紹介するのは、ニナ・ハーゲンにとってはセカンドアルバムにあたる。だがドイツ人である彼女が母国語で歌っていることもあり、このアルバムでこそ彼女らしさが素直に現れたのではないかと思う。彼女の名前をかけたアルバムタイトル「ウンバハーゲンUnbehagen」とは「不快な/不安な」という意味だ。俺にはとても心地よく聞こえるがな。1曲め「アフリカン・レゲエ」はドイツ語で歌われるハードロックとレゲエの取り合わせがおもしろく、話題にもなったし文句無しにこのアルバムを代表する曲ではあるけれども、聴き込んでゆくとこのアルバムの心地良さは、「悪夢Alptraum」や「俺達は生きているWirLebenImmerNoch」、「彼はハーマンHerrmannHiesser」のようなストレートな曲にこそ、やはり、ある。また芝居っ気たっぷりの「バウ・ワウWau−Wau」もおもしろい。

解説の平山雄一氏によると、ニナ・ハーゲンは1955年に東ベルリンで生まれた。当時はまだ東西冷戦の中であって、音楽専門学校を卒業し国内で音楽活動をするが、1976年、父親が国外追放になるのをきっかけに西側へ亡命することになったそうだ。確かに彼女の個性は当時の共産主義社会では開花しなかったに違いない。

このアルバムは1979年に発表された、CBSエピック・ソニーの日本盤アナログレコードだ。


2000.1.11