これは記念すべきヘンリー・カウHenryCowのファーストアルバムだ。昨日紹介したアルバム「InPraiseOfLearning」はかなりアバンギャルドな雰囲気が濃かったが、それはボーカルのダグマーによる影響が強いと書いた。そしてこのアルバムにはダグマーは参加していない。おそらくそれで、このアルバムはロックと言うよりジャズのアルバムとして聴くことができると思う。
メンバーはGeoffLeigh(Saxes,Flute,Clarinet,Recorder,Voice/このミュージシャンの名前に俺は聞き覚えがない)、ティム・ホグキンソンTimHodgkinson(Organ,Piano,AltoSax,Clarinet,LittleBells,Voice)、フレッド・フリスFredFrith(Guitars,Violin,Viola,Piano,Voice)、ジョン・グリーヴスJohnGreaves(Bass,Piano,Whistle,Voice)、クリス・カトラーChrisCutler(Drums,Toys,Piano,Whistle,Voice)。全員が様々な楽器を演奏しており、Voiceとクレジットされていることから、わいわいとアイデアを持ちより楽しみながら録音されたと想像される。
A面が4曲23:45、B面は4曲20:15。クレジットされた8曲は、フレッド・フリス名義の曲が3曲、ティム・ホグキンソン名義の曲が2曲、フリスとジョン・グリーヴスの共作名義が1曲、ヘンリー・カウのバンド名義が2曲。軽快でコミカルな演奏が一転してスピード感のあるものへ、またゆったりとした躍動的なものへと変化する。アルバム全体がトータルにまとまっている。演劇的な印象も受けるし、生活の中に溶け込んだ「家具の音楽」的な印象も受ける。
レコーディングは1973年の5〜6月にManorStudioで行われたとあり、アルバム1曲目のフレッド・フリス名義の曲「NirvanaForMice」の冒頭は、マイク・オールドフィールドMikeOldfieldがエンジニアを務めたと書かれている。またこのファーストアルバムから「InPraiseOfLearning」まで一貫して使われることとなる靴下のモチーフは、レイ・スミスRaySmithという人のものだ。
このアルバムには発表年が書かれていないが、次のアルバムの録音が1974年の2〜3月に行われているので、1973年の末か1974年の初めには発売されたのだろう。詳しいことを知っている方がいたら教えていただきたい。レッド・レコードRedRecordsのナンバーRED001で、VirginRecordsLtdから発売されたアナログレコードだ。明日はセカンド・アルバムを紹介することにしよう。
2000.1.2