In Praise Of Learning / HENRY COW


今か今かと待ち遠しかった西暦2000年だが、来てみるとなんだかあっけないものだ。もちろん俺は予言の類は信じないのだが、せっかくの2000年だから歯ごたえのある音楽を紹介してやる。

ヘンリー・カウは独特のスタイルを持っている。学生時代に音楽雑誌のレビューを見て聴き始めたときには、俺自身がロックやジャズの全容を知らなかったのだが、それがわかってくるとなおさらヘンリー・カウのオリジナリティがわかってくる。そして何よりもダグマーDagmarのヴォーカルがすごい。いま改めて聴くと、ダグマーの歌以外のバンドの演奏はトラディショナルで、ゆったりとした雰囲気すら感じさせる。その演奏にダグマーの地の底から響くような声がミスマッチのおもしろさを感じさせているとわかる。

メンバーはティム・ホグキンソンTimHodgkinson(Organ,Clarinet,Piano)、フレッド・フリスFredFrith(Guitar,Violin,Xylophone,Piano)、ジョン・グリーヴスJohnGreaves(Bass,Piano)、クリス・カトラーChrisCutler(Drums,Radio)、ダグマーDagmar(Voice)、ピーター・ブレグヴァドPeterBlegvad(Guitar,Voice,Clarinet)、アンソニー・ムーアAnthonyMoore(Piano,Electronics,Tapework)、リンゼイ・クーパーLindsayCooper(Bassoon,Oboe)となっている。

とにかく1曲目の「War」を聴いてみろ。背筋が寒くなる感動を覚えるぞ。ヘンリー・カウのアルバムの中では、俺が最初に出会ったもので、未だに一番好きなアルバムだ。このアルバムは1975年にVirginRecordsLtdから発売された英盤のアナログレコードだ。輸入盤で買ったが普通のレコードの2倍くらいの値段で買った記憶がある。


2000.1.1