Live At The Jazz Cafe / PROJEKCT ONE


このアルバムは、ロバートフリップの「プロジェクト1」のライヴ・アルバム。4組ある「プロジェクト」の中では、私には最も「クリムゾン」的に思えるアルバムだ。なんといってもドラムスはビル・ブラフォード。この人のドラムはワン・ショットを聞くだけでそれとわかる。だが冒頭の1曲目では、早いテンポの中で時折つまづくような乱れ、とりわけバス・ドラムの危うさが見られる。やはりブラフォードのドラムの魅力は、こんなに早いテンポではなくミドル・テンポのグルーヴ感にあると思う。

解説には「キング・クリムゾンのフラクタル分裂TheFractalisation」と題した解説が書かれている。少し引用してみると「1997年11月にキング・クリムゾンは6人のメンバーが分裂して活動する”プロジェクト”を開始した。その6人とはエイドリアン・ブリュー、ビル・ブラッフォード、ロバート・フリップ、トレイ・ガン、トニー・レヴィン、パット・マステロットである。これらのクリムゾン・プロジェクトないしはサブ・グループ構想の狙いは、それを調査・開発部門として機能させることでクリムゾン本体に役立て、次世代のクリムゾンのための音楽を生み出すことにある。」

しかし私にはそれほどの実験的な色彩は感じられない。むしろクリムゾンで培われた音楽の要素を、それぞれのユニットで消化し反芻しているように感じられる。ここに収められた演奏は確かに緊張感の高いものだが、それは確かなクリムゾンらしさに裏付けられたものであり、安心して楽しむことができるアルバムだ。ライブに集まった観客も熟成された満足感に浸ることができただろう。もちろんこれは悪い意味で言っている訳ではない。

このアルバムは1999年にポニーキャニオンから発売された日本盤のCDだ。


1999.12.25