Opel / Syd Barrett


ここに音楽と格闘した男のアルバムがある。シド・バレット。1曲目の「OPEL」を聴け。簡素なアコースティックギターの伴奏で弾き語り、6分26秒もの歌になっている。これを聴けばシド・バレットとは何者かということがわかる。

ピンクフロイドという雄弁なミュージシャンの中で薄められたのではない、生身のシド・バレットの姿がここにある。シド・バレットはピンクフロイドを脱退した後、「帽子が笑う・・・無気味にMadcapLaughs」と「その名はバレットBarrette」の2枚のソロ・アルバムを発表するのだが、その間のデモ録音や未発表テイクを集めたのが、このアルバムだ。だから生身の感動がある。それどころかむしろ前述の2枚のオフィシャル・アルバムよりも彼の心がよくわかる気がする。俺のお気に入りの一枚だ。

このアルバムは1998年に東芝EMIから発売された日本盤のCDだ。


1999.12.26