少し不気味なジャケットだが、音楽は気難しくない。ロキシー・ミュージックで有名なフィル・マンザネラＰｈｉｌＭａｎｚａｎｅｒａのプロジェクト８０１のアルバムだ。参加ミュージシャンがすごい。甘い魅力的なヴォーカルはＳｉｍｏｎＡｉｎｌｅｙ、メル・コリンズＭｅｌＣｏｌｌｉｎｓやイーノＥｎｏ、ロル・クレームＬｏｌＣｒｅｍｅとケヴィン・ゴドレーＫｅｖｉｎＧｏｄｌｅｙのコンビ、エディ・ジョブスンＥｄｄｉｅＪｏｂｓｏｎ、サイモン・フィリップスＳｉｍｏｎＰｈｉｌｌｉｐｓ、他にはＢｉｌｌＭａｃＣｏｒｍｉｃ、ＩａｎＭａｃＣｏｒｍｉｃ、ＴｉｍＦｉｎｎ、ＢｉｌｌｙＬｉｖｓｅｙ、ＤａｖｅＭａｔｔａｃｋｓ、ＦｒａｎｃｉｓＭｏｎｋｍａｎ、ＥｄｄｉｅＲａｙｎｅｒ、ＪｏｈｎＷｈｉｔｅ。

俺はもう冒頭のタイトル曲「ＬｉｓｔｅｎＮｏｗ」でメロメロになる。そして３曲目「Ｉｓｌａｎｄ」。いかにもイーノらしいキーボードが心に染みる。聴きこんで気がつくのは、音が極限まで減らされ、サウンドも限りなくピュアに表現されているところだ。これはフィル・マンザネラの音表現であるとともに、ゴドレー＆クレームのアプローチにも近い印象を受ける。そしてこれがロキシー・ミュージックの歴史的名作「アヴァロン」に結実する、と言えば過言だろうか。４曲目の「ＬａｗＡｎｄＯｒｄｅｒ」は歌のメロディーを大切にされたソウルフルな曲。ＵＫで演奏されてもいいような雰囲気だから、エディ・ジョブスンの影響か、と思えばこの曲にエディ・ジョブスンは参加していない。

Ｂ面では小曲「？Ｑｕｅ？」に続いて「ＣｉｔｙＯｆＬｉｇｈｔ」はヴォーカル重視の曲。そして「ＩｎｉｔｉａｌＳｐｅｅｄ」ではロル・クレームが「ギズモ」を弾いている。これはブランドＸ風のスピード感あるインストルメンタル曲。メル・コリンズのソプラノ・サックスも心地よい。再びイーノの影響が強く出た「ＰｏｓｔｃａｒｄＬｏｖｅ」の余韻を残しながら、最終曲「ＴｈａｔＦａｌｌｉｎｇＦｅｅｌｉｎｇ」へと流れ込む。至福の終曲。

これは７０年代ロック・ミュージックの素晴らしき遺産だ。騙されたと思って聴いてみろ。１９７７年にＥ．Ｇ．ＲｅｃｏｒｄｓＬｔｄから発表され、これはポリスターから発売された日本盤のアナログレコードだ。

１９９９．８．２０