豊満な女性の乳房がデザインのジャケットは、豊穣で嫋やか、包容力のある音楽を如実にあらわしている。そう、この音楽はやさしい。1983年に発表されたアバンギャルドな1stアルバム「ゴールデン・パロミノス」、そして1984年にライブ・アンダー・ザ・スカイで見たハービー・ハンコック・アンド・ロキット・バンドのプレイ、そして何よりもビル・ラズウェル、フレッド・フリスとのトリオで来日した、京都でのライブはすさまじかった。あの攻撃性はどこへ行ってしまったのか、と思うほど、やさしい音楽だ。
アルバム全体を通じて、女性ボーカル、ロリ・カーソンLoriCarsonの力が大きく感じられる。独特の気だるい雰囲気は、アルバム全体の印象を作り上げている。実際アルバムに収められた9曲中の7曲にロリ・カーソンが作曲に名前を連ねている。ジャケット裏にはロリ・カーソンとアントン・フィアーの写真が並べられており、実質的にこのアルバムは二人の共作であると言っていい。
ベースはビル・ラズウェルBillLaswell。昨今この人はプロデューサーとして有名だが、俺はこのアルバムでのように、単なるプレーヤーとしてのビル・ラズウェルが好きだ。派手なプレイではなく、印象的なフレーズを淡々と紡ぎ出してくる。
メンバーのクレジットは、LoriCarson(AcousticGuitar,Vocals)、KnoxChandler(ElectricGuitar)、BootsyCokkins(RhythmGuitar)、AntonFier(Drums,Programming,Loops,Etc)、LydiaKavanaugh(Vocals),AmandaKramer(Keyboards)、BillLaswell(Bass)、NickySkopelitis(6&12StringElectricGuitars)となっている。
このアルバムは1994年に発表された。このCDはMIDIから発売された日本盤。
1999.8.15