Tadpales / BONZO DOG BAND


ことばで表現すると「へろろろ〜ん」っていうようなアルバムだ。体中の力が抜ける1曲目は「インドの虎狩りHuntingTigersOutIn”India”」。ついにボンゾ・ドッグ・バンドを紹介する時が来た。アルバム・タイトルは「タッドポールズTadpoles」。Tadpoleは「おたまじゃくし」。CD帯にはこう書いてある「『おいらは町の宇宙飛行士』の大ヒットの余勢をかって発表された大傑作アルバム。ボンゾズの作品中、最も贈り物に適した一枚。誕生日、クリスマス、バレンタインには特に効果を発揮します」うーむ。誕生日にこのアルバムをもらった人って、どんな気持ちだろうな。次の誕生日まで1年間、頭をひねりつづけないといけないかも。クリスマスなあ、パーティでこのアルバムをみんなで聞くなんて想像できん(^_^;)。

何度か聞いていると、このアルバムは世界中の音楽に対するオマージュだということに気付く。1曲目はタイトルどおりインド風。2曲目・・・これはまたわからん・・・「シャツ」についての街頭インタビューになっている。そうそう、これ、昔輸入盤LPで聞いたときにはさっぱりわからんかった。このCDはありがたいことに完全日本語訳がついている。また付け加えるとだな、LPはジャケットの一部に穴が空いていて、中紙の印刷が見えるようになっている。有名なところではレッド・ツェッペリンのフィジカル・グラフィティと同じような仕掛けだ。それはジャケットに写る3人の、眼鏡、目玉、額、にあたる部分だ。余談だったな。3曲目はヨーロッパのトラッド音楽の香りがする。4曲目は「DoctorJazz」というタイトルだが、サーカスで流れてきそうな音楽。ディキシー・ジャズというのかな?。5曲目はロックン・ロール。

6曲目「Ready−Mades」はブリテン民謡風と見た。この曲は奇麗だよ〜。歌詞はナンセンスだけれど。7曲目は「Ali−Baba’sCamel」でアラビア風のメロディーを使っているが、残念ながらこれはそれほど雰囲気が出ているとは思えない。8曲目はブルース。インストルメンタル曲で、120%ホンキートンク調のトランペットがおもしろい。9曲目はジャズのビッグ・バンド風。

10曲目「Mr.Apollo」はリバプール・ロック風なんだが、アルバムの解説によると、ボンゾ・ドッグ・バンドのヒット作品となったシングル曲「おいらは町の宇宙飛行士」をプロデュースしたのがビートルズのポール・マッカートニーだったそうだ。彼はプロデュースにあたって「アポロ・C・ヴァーマウス」という名前を使ったらしい。とすれば、だ、この曲は「ミスター・アポロ=宇宙飛行士=強いもの」の栄光を嘲りながら、ビートルズというバンドの虚飾を皮肉っているように受け取れる。

このCDには30ページもの日本語解説、歌詞、訳詞が付いている。アルバム全体、グループの解説とともに、すべての曲に詳細なコメントが書かれている。ライターはマシュー・ズカマンと言う人。訳は茂木健。これを読むと、ボンゾ・ドッグ・バンドの面白さが倍増すること間違いなしだ。彼は最後にこう書いている。「この新たに勝ち得た名声をもって、ザ・ボンゾ・ドッグ・バンドは何をするのか?この名声が、ザ・ボンゾ・ドッグ・バンドに何をしたのか?『ケインシャム』にすべての答がある」

いやー久しぶりに書いたった。ボンゾ・ドッグはもっと早く紹介したかった。同僚のNさんは「ボンゾと言えばジョン・ボーナムですか?」と言っていたが、そうではない。Nさん暑中見舞いありがとー。今からこのアルバム、家に届けるね。じっくり味わってください。明日もボンゾ・ドッグ・バンドの紹介だ。真面目に続けて書いてゆくぞ。

このアルバムは1968年に発表された。このCDは、1993年にOneWayRecordsから発売されたカナダ盤で、MSIが輸入して日本語化をはかり国内発売したもの。両ディストリビューターに感謝!!

1999.8.12