知っている人ならジャケットを見たとたん「おおっ」と声をあげるところだろう。ドイツの有名なプログレッシブ・ロック・バンドだ。ドイツのバンドとしては世界的に有名になったほうで、このアルバムも英UAレコードから発売されている。
大鎌を持った男の服装は、中世を思わせる幻想的なもの。左手前には絵の額縁風のデザインがされているが、どことなく中途半端。左上に見えるピンクの三角はなんやねん(と関西弁でツッコミたくなる)と思って考えてみると、もしかしたら自分で自分の絵を斧で切った、ってイメージかな?しかしこのジャケット・デザインはインパクトありすぎ。そして奇麗なコート紙が使われている上に押し型で押されていて、手触りがとてもいいんだな。
1曲目から大作。「SoapShopRock」は4つのパートで構成されていて、約13分の曲。アナログ・レコードのA面をほぼ使い切っている。頭で考え紙に書かれた音楽ではない。バンドのメンバーが集まり演奏を繰り返しながら作り上げたことがよくわかる演奏だ。感心するような演奏技巧はないが、バンドとしての表現に自信を持っているたくましい演奏力。そして4分弱の小曲でA面は終わる。
B面には5曲が収められている。どの曲もエネルギッシュで印象的だ。4曲目「Eye−shakingKing」が素晴らしい。約6分30秒の大作で、ピンク・フロイドのニック・メイスンを凌駕する「ため」のドラムと、重厚なベース、広大な空間を表現する豪華なギターの音。そしてディスク2枚目のC面は、18分のタイトル曲「Yeti」。サイケデリックなインプロビゼーションだ。混沌とした曲が最後には希望に満ちた明るさで終わる。
最後のD面には2曲が収められている。「YetiTalksToYogi」は中間部にドラムのインプロビゼーションが華々しい。怒涛のような音の洪水。最後の「SandozInTheRain」はパーカッションとアコースティック・ギターの軽い伴奏にボーカルがブルースのように歌われる。
このアルバムは1970年にLibertyRecordsから発売された英盤のアナログ・レコードだ。
1999.7.15