Wintrup / KRAAN


バンド名はKRAAN・・・クラーン・・・くらーん・・・インパクトのある名前だ。ジャケットも異様で、カルトな雰囲気が十二分に伝わってくる。しかしサウンドはそれほど奇異ではない。それどころか、極めてストレートなロックだ。ブリティッシュ・ジャズ・ロックの保守本流と言われても納得するだろう。ああ「保守本流」という言葉は死語に近いな。

まず楽器の音がとてもピュアだ。ドラムやベースのリズムセクションは、極めてストレートに録音されている。ギターには多少深めのリバーブがかかっている程度。歪もエフェクターではなくアンプのオーバードライブを最小限に加えている。この姿勢が潔い。テクニックに自信もあるのだろう。メンバー構成も素直で、PeterWolbrandt(Gui,Voc)、HellmutHattler(Bass,Voc)、JohannesA.Pappert(Sax,Perc)、JanFride(Drums,Congas)だ。曲によってはフルートらしき音も聞こえるし、シンセサイザーらしきストリングスもある。

ジャケットは2つ折りで、開いてみるとメンバー一同がテーブルについてリラックスしている写真が見れるが、妻や子どもらしき姿もあって、「コミューン」的な生活の様子がイメージできるものとなっている。とはいえ、俺はクラーンについて良く知っている訳ではない。ただ、このアルバムが心地よいだけだ。

このアルバムは1972年の11月から12月にかけて、ミュンヘンの「スタジオ70」で録音されたとある。1973年にSpiegelei/Intercordから発売された独盤のアナログレコードだ。

1999.7.14