Touma / Mori Kante


覚悟しろ、と書いた割にはポップなんだが今日は許してくれ。今日俺はこれを紹介したい気分。モリ・カンテ。世界的にヒットした、とは言い過ぎかも知れないが、「イェ・ケ・イェ・ケ」という曲はすごかった。このCDのライナーにはジプシー・キングスの「ジョビ・ジョバ」と並べて「それまで一部の愛好者たちのものでしかなかったワールド・ミュージックに、今日の大きな可能性を与えることになったエポック・メーキング的な作品」と書かれているが、単にワールド・ミュージックというのではなく、ポップ・ロック界に衝撃を与えた作品だった。

1曲目「クルニェニェKrougnegne」から「くうぁっこいぃー」と腹の底からうなりたい気分。母国「マリ」の言葉で歌っているようで、それがまた耳に新鮮にきこえる。しっかし張りのある艶やかな声だなあ。モリ・カンテはマリの民族音楽「グリオ」を歌う家系の人らしいが、そんな貫禄も伝わってくる素晴らしい声だ。

アルバム・タイトルは「Touma」で、このタイトル曲は「Traditional,ArrangementsMoryKante」とクレジットされている。歌詞は載っていないが、日本語訳は紹介されている。「正義がほしい人には暇がない/神様は正当な人が好きです/神様は正当な人を助ける/ネルソン・マンデラが長年刑務所に/閉じ込められていたことは全世界に知られている/神様は正当な人を必ず助ける/金やダイヤモンドのためにアフリカ人は苦労をしいられた/しかし自由と開放の日が近づいた」。シリアスなメッセージが込められた歌だが、とてもすがすがしくポップに聴かせる優しい曲だ。

だが日本盤のアルバム・タイトルは次の曲「バンキエロ」が採られている。確かにサウンド的にはこちらの方がスリリングで印象深い。メロディーもわかりやすく、まるで戦隊ものテレビアニメの主題歌のように威勢がいい曲だ。だが「イェ・ケ・イェ・ケ」のような研ぎ澄まされた緊張感はなく、ゆったりとした自信に満ちた曲だ。

このアルバムは1990年に発表されました。このCDは日本フォノグラム株式会社から発売された日本盤のCDで、1999年6月21日に明石駅前の中古CD店オヤユビピアノで、980円で購入しました。

1999.7.8