朝、久しぶりに同僚のNさんの車で一緒に通勤し、音楽についての会話を楽しんだ。「コラボレーション」とか「ミュージック・コンクレート」という言葉を交わせる相手はそう、いない。現代音楽やジャズについて語った後、「そういえばカルト・ミュージックは、最近ちょっとカルトっぽくないですね」というようなことを言われた。むむ。これは俺も気になっていたところだ。
このコーナーを始めた頃、あまりにもカルトすぎると、見た人も何がなんだかわからない、という意見もあったので、時折有名なアルバムも紹介することにしてきた。それが最近は有名どころの方が多く紹介されるようになってきたみたいだ。反省。
ということで、今日はちょっとカルトにシフトする。サーテイン・レイシィオだ。最初このバンドのアルバムを聴いたときには、何がいいのか全然わからなかった。それどころか、音楽と言っていいかどうか疑わしい、とさえ思った。リズム主体でひたすら反復に始終する。よーく聴けば微妙なスィング感があるのだが、ちょっと聴いたところでは、まるでリズムマシンとシーケンサーの音楽のようだった。確かこのバンドを教えてくれたのは、大学時代の先輩、バンドのドラマーGさんだった。
で、このアルバムは買ったものの聴いていなくて、今日はこれでいこう、と思って聴くと、あれまあこれは、ぜーんぜん違うじゃないか。俺の知っているサーテイン・レイシィオじゃない。なんて甘い歌なんだ。ライナーを読むと、一般的にも「ポップ指向」と批判的に言われたようで、それに対する答えとしてドナルド・ジョンソンの次の言葉が引用されている。「いくらいい音楽を作っていても誰も聞いてくれないとしたらどうしようもない。ただの無駄に終わってしまうだけだ。僕らは自分たちのやっていることを信じているから、もっともっとたくさんの人たちに聞いてもらいたい」
確かに悪くはないんだが、俺にとってのサーテイン・レイシィオは、やはり少し違う気がする。
このアルバムは1989年に発表されました。ポニー・キャニオンから発売された日本盤のCD。1999年6月21日に明石駅前の中古CD店オヤユビピアノで1,200円で購入。
1999.7.4