Who Else ! / Jeff Beck


オリジナル・アルバムとしては10年ぶりの作品らしい。本屋での立ち読みだったので正確ではないのだが、このアルバムを発表するにあたっての雑誌のインタビューを読んだことがある。ベックは、今のリスナーに聞きやすいようにアレンジしたが、昔からのファンには受け入れられないかも知れない、というようなことを言っていた。

だがこれはベックのアルバムだ。

確かにアレンジはポップで今日的だ。リズムマシンなど電子楽器がふんだんに使われた曲もある。例えば2曲目の「サイコ・サム」では、私にとって思い出の深い、ローランドのベースマシンTB−303のような音が聞こえる。さらにギターも深いエフェクトがかけられていて、素直でない。しかし。よく聴いてみると、そのフレーズはブルース・フィーリングにあふれ、粘っこく泥臭い。

頭の硬いファン(失礼)にも受け入れられやすい曲も、たくさんある。例えば3曲目「ブラシ・ウィズ・ザ・ブルース」。本物のファンなら、この一曲だけでもアルバムの出来に十分満足するはずだ。6曲目の「エンジェル」も静かで素直なバラードだ。また4曲目の「ブラスト・フロム・ジ・イースト」は変拍子が印象的。8分の8拍子+7拍子の組み合わせが基本になっている。俺は変拍子が大好きだ。

CDの4つ折りされたジャケットを開くと、縦長でブルドックを連れたベックの写真が現れる。シャープなベックと恰幅のいい犬の姿が対照的だ。 またジャケットと同じデザインのステッカーが付いている。マニアには随喜のプレゼントだろう。

やはりこれは、確かにベックのアルバムだ。

このアルバムは1999年に発表されました。これはエピック・レコードから発売された日本盤のCD。1999年6月21日に明石駅前の中古CD店オヤユビピアノで1,280円で購入。

1999.7.3