After Hours / Gary Moore


渋い。かっこいい。指先がギターの弦をフレットに押し付けるところが見えてきそうです。ねばっこいフレーズ。深い音。こういうスタイルを持っているギタリストは、どのギターでもどのアンプでも、自分の「音」を出すのでしょう。どんな安物のギターでも、彼が弾くと輝き始める。そんな凄さを感じます。

このアルバムの聴きどころは、3曲目「ストーリー・オブ・ザ・ブルース」です。これを聴くとゲイリー・ムーアという人のギターはとてもよく「喋る」という印象を受けます。私が知っているギタリストの中では、ピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアと、元スコーピオンズそしてソロで活躍するウルリッヒ・ロートを足して2で割った感じ。そしてこの2人のギタリストよりももっと饒舌です。

「ストーリー・オブ・ザ・ブルース」は、「女が去り、結局俺にはブルースを演るしかないんだ」という歌。次の「シンス・アイ・メット・ユー・ベイビー」で「おまえに会って最高に幸せだ」と歌い、「セパレート・ウェイズ」では、「俺はベストを尽くしているのに、おまえはいつも不満を言う。俺を理解できないなら消えてしまえ」と。「キー・トゥ・ラヴ」では「君がオーケーしてくれるなんて夢にも思わなかった」と喜び、「ザ・ブルース・オブ・オールライト」では「せっかく俺が歌ってやったのに、おまえは行ってしまった。おまえが行ったおかげで、俺にはブルースが残った」と歌います。いやーかっこいいなあー。

このアルバムは1992年にヴァージン・ジャパンから発売された日本盤のCDです。秋葉原の「リバティー」で中古CDとして580円で購入。

1999.3.14