Thrakattak / KING CRIMSON


「”スラック”はそんな『スーパー・キング・クリムゾン』の代表曲なのである。そして本作は、その”スラック”を更に『攻撃的』に展開させてるのだから、怖い。何たってスラックがアタックするのだ。」このCDに解説を書かれている市川哲史さんは熱く語ります。しかし「スラックThrak」とは何か。同僚でカナダ人のMeeraに聞くと、眉間に皺を寄せて「NoMean」と言いました。

「スラック」という言葉からは、鋭くシャープで弾けるようなイメージを受けます。サウンドを表現した言葉でしょうか。その「スラック」が「アタック」する。ところで「スラック・アタック」という言葉から私が連想するのは、ゴドレー・アンド・クレームGodleyAndCremeのアルバム「スナック・アタックSnackAttack」です。輸入盤でしか聴いたことがないので、長いラップ風の歌詞の内容はわからないのですが、目鼻が付いたハンバーガーが空から飛んでくるというジャケットから、現代食生活をテーマにした文明批判かな、と思っています。ぜんぜん外れているかもしれませんが。これも学生時代に聴きまくりましたねぇ。訳詞付きで日本盤が出ないかな。

ところで「スラック」。これはキング・クリムゾンの歴史の幕開けとなった名曲「21世紀の精神異常者」、そして第2期キングクリムゾンの幕引きとなった「レッド」、この2曲と並ぶ名曲です。いや、というよりも、「21世紀の精神異常者」「レッド」とともに、キング・クリムゾン=ロバート・フリップの全てを具現したサウンドと言ってもいいでしょう。

このアルバムは即興演奏が中心になっています。メンバーは6人。ロバート・フリップRobertFripp(Guitar,Soundscapes)、エイドリアン・ブリューAdrianBelew(Guitar)、トレイ・ガンTreyGunn(WarrGuitar)、トニー・レヴィンTonyLevin(NsElectricUprightBass)、パット・マステロットPatMastelotto(Acoustic&ElectronicPercussions)、ビル・ブラフォードBillBruford(Acoustic&ElectronicPercussionsAndMarimba)。いわゆる「ダブルトリオ」編成です。ミュージシャンのほとばしる情熱をぶつけ合うような後期キング・クリムゾンのインプロビゼーションに対して、この「新生キング・クリムゾン」は、すさまじいテクニックに支えられた各ミュージシャンが、全体のサウンドの中で自分の「音」を客観的に批評しながら演奏している、という印象で、まさしく「音楽家集団」といえましょう。

このアルバムは1996年に発表されました。このCDはポニー・キャニオンから発売された日本盤です。

1999.3.1