数年前にライコディスクから日本盤でフランク・ザッパFrankZappaのアルバムがシリーズで発売されました。ほとんどのアルバムが歌詞・訳詞・解説付きで発売され、ザッパ初心者からフリークまで先を争って買い求めた、ってえのは大袈裟でしょうけど、私も小遣いをはたいて買いまくりました。ところがそのときは、たぶん版権の関係でしょうが、この「スリープ・ダート」と「スタジオ・タン」、「オーケストラル・フェイヴォリット」はありませんでした。このシリーズも何度か再発され、後にはコレクションに収録されることになりました。これは1995年に「FZ1993年承認マスター使用」と書かれて発売されたものです。
私がこのアルバムを聴いたのは、フランク・ザッパ体験の中ではごく初期にでした。たぶん輸入盤で「スタジオ・タン」と同じ時期に買って聴きました。高校生か大学1、2年の頃で、当時はもちろんレコード。30cmのジャケットに、アメリカ風の大胆なイラストに惹かれたことを思い出します。
心からの叫びと聞えるフィードバックのギターで始まるアルバムは、途方もなくロマンティックです。こんなにロマンティックなアルバムは、ザッパの作品の中でも珍しいでしょう。この冒頭の「フィルシー・ハビッツFilthyHabits」は、まるでジャーマン・プログレッシヴ・ロックかと思うほどです。気持ちいいザッパのソロ・ギターが延々と堪能できる7分32秒。至福の時が過ごせます。
続く2曲目「フラムベイFlambay」、3曲目「スパイダー・オブ・デステニーSpiderOfDestiny」、4曲目「レジプシャン・ストラットRegyptianStrut」の3曲は、LPではインストルメンタル曲でしたが、このCDではタナ・ハリスThanaHarrisという女性ヴォーカルが入っています。5曲目はタイトル曲「スリープ・ダートSleepDirt」。CD解説によると「目やに」という意味だそうです。「エーフ」という声が印象的な、ザッパによるアコースティック・ギター曲。ブルース・フィーリングにあふれています。
そして最後は超技巧インストルメンタル曲「ジ・オーシャン・イズ・ジ・アルティミト・サリューションTheOceanIsTheUltimateSolution」。これもオリジナルとかなり違う印象があるなあ。どうしてだろう。実は手元にオリジナルのワーナー盤のLPがあります。聴いてみよう。うーん。やっぱりLPはスクラッチノイズが耳につくなあ。当然ですが音はCDの方がクリアで艶やか。でもそれほど違いはありませんね。
このアルバムは1979年に発表されました。しかしCDには1974年から1976年の間に録音されたものだと書かれています。このCDは日本盤で、1990年にボブ・ストーンBobStoneによってデジタル・リマスターされたものです。
1999.2.27