ジム・フィータスは輝きを失っていない。デビュー当時の破壊的衝動を耽美的に表現したエネルギーは、このアルバムでも見事に感じられます。1985年頃にイギリスでパンク・ロック界へ殴り込みをかけたジム・フィータスは、オーストラリアに生まれたそうです。今ここに当時のアルバム、というかマキシ・シングルが2枚あります。ひとつは「カラミティ・クラッシュCalamityCrush」で「フィータス・アート・テロリズムFoetusArtTerrirism」、略称「F・A・T」名義のデビュー・アルバムで、いま一枚は2ndアルバム「ウォッシュ・イット・オール・オフWashItAllOff」で、これは「ユーヴ・ゴット・フィータス・オン・ユア・ブレスYouveGotFoetusOnYourBreath」名義です。これらのマキシ・シングルで名を馳せたあと、「ホウルHole」、「ネイルNail」という素晴らしいアルバムを発表します。
既存の音楽カテゴリに収まらないフィータスの音楽ですが、サウンドはとにかく攻撃的、怒りを感じるものです。「インダストリアル」という言葉が適切かどうかわかりませんが、鋳鉄のハンマーで機械部品を叩き潰してゆくというような「重く」「熱く」「汗が滴るような」印象を受けます。特にすごいのは2曲目の「MightyWhity」のスピード感、そして5曲目「Downfall」の重量感です。
このアルバムは1995年に発表されました。このCDは日本盤で、12曲のオリジナル曲が曲順を変えられ、3つのボーナス・トラックを加えて編集されたものです。ジャケットにデザインされた「SONY」のロゴ・マークが、ちょっと押し付けがましいですね。
1999.2.26