The Pleasure Principle / Gary Numan


シカゴでKAXさんは突然「ゲイリー・ニューマンが聴きたい」と言いました。そういえば私も長いあいだ聴くことがありませんでした。私とKAXさんが学生時代の1970年代後半から1980年代にかけて、共に体験した音楽は、ほんとうに様々なものがありました。それはやや大袈裟に言えば、生き方を変えるような体験であったと言えるようなものでした。最近は当時の音楽を無性に聴きたくなることが、こんなふうに、あります。

シンセサイザーをサウンドの中心に使うこと、またそれが既存の楽器のシミュレートではなく、電子楽器そのもののおもしろさを見出して使うこと。そしてあくまでも美しく叙情的であること。こうした観点で作られた当時のニュー・ウェーヴの中のひとつのカテゴリは「ニュー・ロマンティック」と呼ばれていました。私の中では「ヴィサージ」というグループが最もこのカテゴリの音楽を代表しているように思えます。その他に有名なところでは「デュランデュラン」なんかがそうだったと思います。

KAXさんにとってはゲイリー・ニューマンが忘れられないもののようです。もちろん私にとってもそう。ひたすら美しいオーケストレーションにのった生々しいヴォーカル。この「美学」と「肉体」の組み合わせは、クラフトワークの「マンマシーン」にも通じるものです。

このアルバムは、オリジナルの10曲に加えて、「Random」、「Oceans」、「Asylum」のスタジオ4曲と、「MeIDisconnectFromYou」、「Bombers」、「RememberIWasVapour」、「OnBroadway」のライブ4曲が加えられたもので、ベガーズ・バンケットBeggarsBanquetから発売されました。オリジナルは1979年に発表され、これは1998年にデジタルリマスターされたものです。昨年12月27日、シカゴ郊外のタワー・レコードで$16.22で買いました。

1999.2.1