Epitaph Volumes Three & Four / KING CRIMSON


このアルバムは、第一期キング・クリムゾンKingCrimsonのライブを編集したものです。この当時のライブは、「アースバウンドEarthbound」という公式アルバムに収録されている他は、ブートレグでしか聴くことができませんでした。アルバムというものは、編集も含めて、ミュージシャンの作品であると思います。正直いって好きなバンドのブートレグは気になりますし、興味本位で聴くことがあります。しかしやはり作品を鑑賞する態度としては不誠実にあたるでしょう。

そういう意味で、ミュージシャン自身の手で発表されるライブ・アルバムは大切にしたいと思います。またこのアルバムには1969年8月9日の「プランプトン・フェスティヴァルPlumptonFestival」の記録と、1969年9月7日の「チェスターフィールド・ジャズ・クラブChesterfieldJazzClub」での演奏が2枚のCDに収録されていますが、「エピタフ」シリーズとしての4枚目にあたるVolumeFour「チェスターフィールド・ジャズ・クラブ」の録音は、ロバート・フリップRobertFripp自身が所有していたテープからのものだそうです。

確かにフリップが所蔵していたとだけあって、VolumeFourの演奏は安定しており聞きごたえ十分。でもVolumeThreeの1969年8月9日「プランプトン・フェスティヴァル」の方が粗削りなだけに緊張感があるように感じます。これらの音源には、将来アルバムに収められることになる曲の「原形」があちこちに見られます。VolumeThreeの2曲目「GetThyBearings」はドノヴァンの曲らしいですが、アルバム「ポセイドンの目覚め」にある曲にモチーフが似ています。

VolumeThreeの8曲目「Improv」では、フリップがジャズ的アプローチのインプロビゼーションをしますが、どうもフリップにジャズ的スケールのアヴォイド・ノートは似合わないように思います。本人もなんだか気恥ずかしそうに感じるのは私の考え過ぎでしょうか。

このアルバムは1997年に発表されました。イギリスでは「ディシプリン・メイルオーダー・サーヴィス」として通信販売のみで流通したようですが、日本では通常の販売となりました。このCDはポニー・キャニオンから発売された日本盤です。

1998.11.28